この秋冬、キーコーヒーから“革命”を謳った新商品「KEY DOORS+JET BREW」(以下、JET BREW)シリーズが家庭用コーヒー市場に登場する。
同シリーズは、最短10秒で手軽に楽しめることを前面に押し出した簡易抽出型の新レギュラーコーヒー。
「オリジナルテイスト」「季節限定ブレンド」「カフェインレス」の3品を取り揃え、9月1日から発売される。
コーヒー相場の高騰により店頭価格が上昇基調にあり買え控えの恐れが高まる中、目新しさを打ち出して需要を喚起し売場を活性化させるのが狙い。
秋冬・家庭用コーヒー商品の考え方について、8月1日、発表会に臨んだ菊地恵一マーケティング本部市場戦略部長は、コーヒー業界を取り巻くコスト環境が一層厳しくなっている点に触れた上で「こうした状況下だからこそ、社会的ニーズや生活者の気分の変化を深掘りして、これまでとは少し異なるテイストの商品を投入する。“これ、キーコーヒーの商品?”と思えるようなデザインも用意した」と語る。

この考え方を反映させた秋冬の目玉商品が「JET BREW」。かねてから展開していた業務用とECから寄せられたユーザーの声に向き合い、中身はそのままに、パッケージや打ち出し方を見直した。
阿部祐美子マーケティング本部R&Dグループリーダーは「“(パッケージから)一般的な簡易抽出コーヒーかと思った”というお声も寄せられ、お客様のレビューをもとに、どのように目新しく感じていただけるかに悩み苦しんだ。パッケージのシズルにこだわり、シズルだけでは伝わりにくい可能性もあるため“革命”の文字をあしらうなどして、商品価値を伝えるための手法に磨きをかけた」と振り返る。
「JET BREW」の複数ある価値の中で前面に押し出すのが、特許技術による短時間抽出。
「取っ手を持ってお湯の中で上下に振るだけで、最短10秒でレギュラーコーヒーの抽出が可能となる。現在、市場に浸透している簡易抽出コーヒー(ドリップコーヒー)よりも、もっと手軽に、もっと早く抽出できることを目指して開発された」と胸を張るのは、小笹明子マーケティング本部R&Dグループ設計第一チームリーダー。

短時間抽出の鍵は、コーヒー豆の挽き方とフィルターにあるとみられる。
「フィルターの網目が荒すぎるとコーヒー粉が出てしまい、かといってフィルターが厚すぎるとお湯が浸透しにくくなる。相反する機能を持たせたフィルターを探すのに苦労した」(阿部氏)という。
二本の取っ手を交差させることで、フィルターが外側に開き、マチができるのもポイント。お湯の中で上下させることでフィルターが広がり、その中でコーヒー粉がジャンピングすることで抽出効率が高まり短時間での抽出を可能にした。
これにより他のコーヒーバッグ商品とも一線を画す。「紐付きのコーヒーバッグタイプは昔から市場にあったが、抽出に3~4分程度の時間がかかることから、なかなか広がりづらかった」(小笹氏)とみている。

上下に振る時間を変えることで好みの濃さに調整することもできる。
「10秒ですっきりとしたコーヒー、20秒で酸味と苦みのバランス、30秒でコクのあるコーヒーがそれぞれ楽しめる。浸透時間や浸透回数によって自分好みの味わいで抽出できる」と述べる。
1袋に6.5gのコーヒー粉が入り、160ml程度のお湯に対応する。
一般的なドリップコーヒーの“開封したときに粉がこぼれる”“お湯を注いでいると溢れてしまう”“カップにセットしにくい”といった不満点も解消。
「粉こぼれの心配がなく片付けも簡単。キッチンシンクに粉がこぼれるのもちょっとした不満だと思う。(業務用やECのユーザーを)調査して興味深かったのは、使用後にそのまま乾燥させて脱臭剤にするといった使い方もあるという点」と語る。
レンチン対応で若年層の獲得も見込む。
菊地部長は「お湯を沸かすのも面倒に感じる若い方たちに非常に効果的だと考えている。そういう若い方たちに向けてプロモーションをかけていきたい」と意欲をのぞかせる。

「KEY DOORS+」の秋冬の戦略の柱は、「JET BREW」をはじめとする商品ラインアップのさらなる充実と、効果的なプロモーションの継続の2つ。
プロモーションは、WEBCMやTVCMの投下、ラッピングトラック「KEY COFFEE TRUCK」を活用したサンプリングなどを継続していく。
「昨年のプロモーションで学びを得たのは、浮遊層の多いリキッドコーヒーや『ドリップオン』といった新商品が出ると飛びつく消費者が多いカテゴリでは非常に効果があったが、ご年配の方々に好まれるレギュラーコーヒーの粉や豆はあまり動かなった。今回はこれまでとは異なるチャレンジグな内容で『JET BREW』をメインに、最短10秒で楽しめる点に注力して伝えていく」と力を込める。
TVCMは、西日本中心に投下予定。
「関西だけではなく、名古屋も福岡も予定する。我々の販売が弱いエリアと、強いエリアで、どのような結果になるのかも測りたい」と説明する。
「KEY COFFEE TRUCK」は9月から再稼働し全国のスーパーを巡回。東京と名古屋ではイベントの開催を予定している。
「若年層やアーリーアダプターといったアンテナが高い方たちが多いエリアでの実施を考えている」という。
レギュラーコーヒーのカテゴリ動向としては、「JET BREW」が属する簡易抽出とともに伸長著しい豆カテゴリに着目する。
豆カテゴリに向けては、「KEY DOORS+」の豆商品(LP)シリーズから、香りに特化した「満ちるフローラル」と「弾けるシトラス」を9月1日に新発売する。
同2品は「飲んだ時の香りと味をしっかり想起させるとともに気持ちまでもがイメージできるような商品名とパッケージデザインを表現した」(小笹氏)という。

同じく拡大基調にあるカフェインレス市場には、「KEY DOORS+ドリップオン カフェインハーフ」を新発売する。
同商品について阿部氏は「カフェインの量を30%オフした『KEY DOORS+ ドリップ オン カフェインひかえめ マイルドブレンド』を昨秋発売したところ、流通さまを含め“もう少しカフェインを除去してほしい”というお声を頂戴し、50%オフにしたほうが、より多くの方の支持が得られると考えた」と説明する。
同商品のパッケージカラーは、好調に推移している「KEY DOORS+ ドリップ オン カフェインレス 深いコクのブレンド」とほぼ同じ紫色を基調とした。
「キーコーヒーのカフェインレスといえば紫色というイメージで、より親しみを持っていただきたく、あえて近い色を採用した」と述べる。