UCC上島珈琲は、世界で始めて水素焙煎コーヒーの量産を開始し4月23日から業務用と家庭用合わせて計7品を発売している。
水素焙煎コーヒーとは、コーヒーを焙煎する際の熱源に、一般的なガスではなく水素を使用したコーヒーのこと。バーナーで水素を燃やして発生した熱風を、焙煎釜に送ることで焙煎する。
水素はガスを使用するときよりも弱い火を出したり、豆を焦がさずに高温を長く保ったりすることができる。
このメカニズムにより、例えば“甘みを引き出す温度”や“雑味を低減する温度”など、特定の温度帯で長く焙煎することで、豆が持つポテンシャルをより引き出すことが可能となった。

4月23日、「UCC富士工場」で発表会に臨んだUCC上島珈琲の伊藤佳世DTC事業本部本部長は「コーヒーは焙煎時の温度帯によって形成される味わいが異なるため、豆や焙煎度合いや出来上がりの色が同じであっても、引き出される味が異なる」と説明する。
エチオピア・イルガチェフェ産コーヒーを一例に挙げると、「一般的な焙煎ではベリー系のフルーティーな風味を感じる味わいだが、水素焙煎では、よりフルーティーでフローラルな味わいに仕上がる」という。
イルガチェフェ産コーヒーは、同社のカプセル式コーヒーマシン「ドリップポッド」専用カプセル、レギュラーコーヒー(豆)、飲料の形態で数量限定発売。いずれも、公式オンラインストアや直営店などで販売している。
「直営店では水素焙煎のキービジュアルやロゴを店頭でしっかり露出し、まずは水素焙煎や水素焙煎がカーボンニュートラルに資することを知っていただく。その上で“水素焙煎はおいしくて環境にいい”ことを伝えていく」と語る。

業務用製品では、定番商品として2種類の豆と1種類のワンドリップコーヒーを発売。
豆は、人や地球に配慮したブランド「UCC Café Nature」から「水素焙煎コーヒー シティロースト(豆)」「同 ダークロースト(豆)」を取り揃える。
豆2品は、有機栽培コーヒーとレインフォレスト・アライアンス認証農園産コーヒーの認定を受けた豆を使用し「多くの人が飲みやすい味わいを目指したブレンドで、水素焙煎によって雑味を抑えたまろやかな味わいに仕立てている」と胸を張る。
ワンドリップコーヒー「UCC ワンドリップコーヒー 水素焙煎 コロンビア」は、環境に配慮し紙素材を包材に採用したほか、パッケージの一部にバイオマスマーク認定を取得したインキを使用している。
既に採用も始まっており、「Hard Rock Cafe Tokyo」(東京都港区)が4月27日まで展開したキャンペーン「Earth Week 2025」で水素焙煎コーヒーを販売。
UCCグループで業務用サービス事業を展開しているUCCコーヒープロフェッショナルの村尾香織販売企画本部課長は、「業務用は、サステナビリティへの意識が高い企業や外資系のホテル、ラグジュアリーホテルからの引き合いが強い。そのほか、水素に関心のある行政や、イノベーション施設など様々な業態にお話をしている」と力を込める。
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