コカ・コーラシステムは「アクエリアス」本体を20年ぶりに味わいを大きく見直すなど大刷新した。4月21日に発売開始し、スポーツシーンでの需要を深耕していく。
スポーツドリンク市場が回復傾向にあることとスポーツ人口の増加を受けた動き。
リニューアルにあたり、スケートボードなどアーバンスポーツ愛好者のインサイトに着目した。
アーバンスポーツは、スポーツの中でも裾野が広く若年層の共感が得られやすいとされる。
4月21日、取材に応じた日本コカ・コーラの高木直樹マーケティング本部スポーツ事業部シニアディレクターは「(スポーツをするための)自分の時間をしっかり確保し、その時間に没入して達成感を味わうといった“自分時間を充実させる”ことが、我々にとって興味深いインサイト」と説明する。
このインサイトに寄り添うべく、味わいは消費者調査に基づき酸味と苦みのバランスを調整してスッキリとして爽やかな後味に大きく見直した。

「これまで以上にゴクゴクと飲みやすい味覚にすることで、没入していることを邪魔せず、本当に優れた水分補給ができるような味わいにした」と胸を張る。
コミュニケーションターゲットはZ世代。「昔ながらのスポーツからアーバンスポーツにシフトしていることを捉えると、必然的に自分時間にスポーツするところに共感を持ってもらえるのは若年層やZ世代」とみている。
パッケージは無駄な情報を削ぎ落しメタリックカラーを配したシンプルなデザインへと磨きをかけた。
キャンペーンは“満ちてるキミは、いい顔だ。”をテーマに掲げ、プロバスケットボールプレイヤーの河村勇輝選手と、スケートボーダーの吉沢恋選手、アニメ「ハイキュー‼」の主人公(日向翔陽)を起用した新CM「満ちてるキミは、いい顔だ。」篇などを放映している。
キャンペーンテーマについては「“満ちてる”の裏を返すと“水分が足りず満ちてない”となる。脱水は満ちていない状態のため、『アクエリアス』を飲んで満ちてもらい、回復してパフォーマンスを上げていくという意味を込めている。“満ちてる”“満ちてない”が一番出るのが表情」と語る。
CMキャラクターは、キャンペーンテーマを体現するのに適したアスリートとキャラクターを選定した。
4月26日と27日の週末には「MIYASHITA PARK(渋谷区立宮下公園)」で“イベントを開催。バスケットボール・バレーボール・ボルダリング・モルック・ダブルダッチ・スタックラインの体験ができるコーナーやフォトスポットを設け、「アクエリアス」を2日間で約6000本配布する。
「“満ちてるキミは、いい顔だ。”と“CHARGE & GO!”を訴求するOOH(屋外広告)を掲げ、『アクエリアス』ブランドが持つ情緒的価値と物性的価値を体験していただけるようにした」という。
「アクエリアス」は他の飲料と比較すると1人で飲みきる“個飲料”の比率が高く、今回、この個飲料をさらに促進するため、飲みきりサイズとして新たに1.25Lをスーパーやドラッグストア中心に販売している。
加えて「2Lを1本買うよりも500mlを4本購入する方が今は増えている」との見方から、個飲料の促進を目的に4本入りマルチパックのデザインも刷新した。
熱中症対策訴求については、店頭のPOPなどで展開していく。
医師から軽度から中等度の熱中症や過度の発汗による脱水状態などの状態時の食事療法として指示された場合に向けたものとしては、病者用食品「アクエリアス 経口補水液ORS(オーアールエス)」を用意している。

同商品を「アクエリアス」本体に次ぐブランドの柱と位置付けている。
「購入者はシニア層が比較的多く、万が一、熱中症になってしまった場合に適しているといったコミュニケーションをしていく必要があると考えている」との考えを明らかにする。
インテージSRI+によると、2024年のスポーツドリンク市場規模は2158億円。コロナ禍以降、回復傾向にあり、直近ではコロナ前の水準を上回る規模に成長している。
「アクエリアス」ブランドも昨年、販売金額で成長を遂げた模様。販売数量については「止渇飲料がどんどん多様化していることと、価格改定の影響により23年と比べると横ばいか若干微減になった」と振り返る。
ブランドが着目するスポーツ人口は増加傾向にある。
スポーツ庁令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、20歳以上のスポーツ実施率(週1回以上)は17年に50%を超えて以降、約52~60%で推移し、23年は52%となった。
今後の運動・スポーツの実施頻度希望についての調査では、現状よりもっと実施頻度を高くしたい人が30.2%を占め運動頻度上昇に対する意欲も高まっているとみている。
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