「ミンティア」コロナ禍の“どん底時代”乗り越え拡大 練り上げたコミュニケーションと3つの基本ニーズに対応した商品展開が奏功

 アサヒグループ食品の錠菓「ミンティア」はコロナ禍の“どん底時代”乗り越え拡大傾向にある。

 コロナ禍では、日常生活の中で人と接する機会が激減したことで、錠菓が対応するエチケットニーズも激減。対面の機会が減り、常に持ち歩く意識も減少した。

 その後、アフターコロナに向かい人流回復とともに錠菓の喫食シーンも回復していく一方で、「一度、錠菓から離れてしまったユーザーがなかなか戻ってこなかった」と振り返るのは、河口文彦コンシューマ事業本部マーケティング一部担当部長。11月1日、取材に応じた。

 2023年は、離反したユーザーを呼び戻す活動に専念。

河口文彦コンシューマ事業本部マーケティング一部担当部長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
河口文彦コンシューマ事業本部マーケティング一部担当部長

 ブランドのタグライン(メッセージ)を「リフレッシュをチカラに。」に変更した。「『ミンティア』を喫食するとリフレッシュできるといったことを伝えて、ミンティア=リフレッシュのリマインドを図った」という。

 これらの活動に加えて人流のさらなる回復が追い風となり「ミンティア」の23年(12月期)出荷金額は前年比23%増の181億円を記録。今期(12月期)は4%増の189億円を計画する。

 今期は、俳優・モデルの池田エライザさんを起用してコミュニケーションを進化。「単にリフレッシュシーンでの喫食だけではなく、リフレッシュした先のなりたい気持ちに自由自在になれることを訴求した」。

 なりたい気持ちとは、例えば、エチケットした後の自分に自信が持てたり、安心できるといった類となる。

池田エライザさんを起用したCM「なりたい気持ち、自由自在。」篇 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
池田エライザさんを起用したCM「なりたい気持ち、自由自在。」篇

 「エチケット以外にも眠気を覚ましたその先に気合が入るという方もおり、あらゆる気持ちに『ミンティア』が応えていくことでブランドの想起回数が上がっていく」との効果を見込む。

 「ミンティア」は新生活や異動などの環境の変化をきっかけにトライアルされる傾向にあることから、3月・4月の春と9月・10月の秋に「なりたい気持ち、自由自在。」篇のTVCMやWEB広告を投下した。

 これによりユーザー数が回復傾向にある。
 「間口(喫食者数)とともに奥行である購入者1人あたりの購入金額も徐々に上がってきている」という。

 ブランドコミュニケーションに加えて、商品にも磨きをかける。

「シャインマスカット」(上)と「せとか」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「シャインマスカット」(上)と「せとか」

 商品は、エチケット・気分転換・眠気覚ましの3つの基本ニーズに対応したものを取り揃えている。

 小粒と大粒(タブレット)の両タイプに注力し、それぞれで異なるニーズに対応していく。

 「我々としては大粒だけではなく小粒の価値もしっかり伝えていく。ユーザーの数をみると、小粒はまだまだ多い。大粒には持続的なリフレッシュの価値がある一方で、小粒には瞬間的なリフレッシュの価値があり、またそのときの気持ちによって一度に食べる粒数を増やしたり減らしたりしてアレンジできる」と説明する。

 小粒の基幹アイテムは「ワイルド&クール」。9月2日には、気分転換ニーズに対応した「シャインマスカット」と「せとか」のフルーツタブレット2品を新発売した。

 「フルーツ系は買い回りユーザーが手に取るきっかけになりやすい。ブランドの入り口として嗜好性を際立たせて、おいしさを意識している。2品のコンセプトはご当地を味わうタブレットで、旅先で果実を食べているような特別感・満足感で気分転換できるように仕立てた」と語る。

 フルーツタブレットは半期ごとに新商品を投入。3月には、希少価値の高い果実の風味を楽しめる国産果汁粉末を使用した 「黄金桃」と「湘南ゴールド」の2品を発売した。

「ミンティアブリーズ クリアプラスマイルド」(中央)と「同レモンライムドレス」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ミンティアブリーズ クリアプラスマイルド」(中央)と「同レモンライムドレス」

 大粒の「ミンティアブリーズ」で23年10月にリニューアル発売して大化けしたのは「クリアプラスマイルド」。

 緑茶ポリフェノール量を従来品の1.5 倍に増量し、口に入れた瞬間に感じる甘みと後味の甘さを抑えて、おいしさを維持しながらよりスッキリとした味わいを実現。
加えて、ミントフレーバーなどによるマスキング効果を表すコピーを従来の“息クリア”から“息みがき”に変えたことが奏功して急伸し好調を維持している。

 「ミンティアブリーズ」でエチケット領域をさらに広げるべく今年4月に発売した「レモンライムドレス」でも手応えを得る。
 同商品は、“息にドレス 香りをまとうタブレット”をコンセプトにレモンライムカプセルを配合したもの。

 「商品では機能価値を強化しながら、ブランドコミュニケーションではリフレッシュした先のなりたい気持ちに自由自在になれることを伝えていく。『レモンライムドレス』では立体的にコミュニケーションして定着しつつある」という。

「ミンティアブリーズ ウルトラブラック」(中央) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ミンティアブリーズ ウルトラブラック」(中央)

 直近では、パッケージをリニューアルして10月7日から発売している「ミンティアブリーズ ウルトラブラック」で池田エライザさんを起用したWEB広告を配信している。交通広告は、首都高の屋外看板広告やバス停のポスター広告を展開。ドライバーへのサンプリングも実施している。

 「ミンティアブリーズ」の基幹アイテムは「リフレッシュブルー」。

6月に期間限定で発売したTVアニメ「ONE PIECE」とコラボレーションしたパッケージデザイン商品ではトライアルを獲得するなど販売に寄与。「ミンティア」ブランド1-10月の販売金額は25%増を記録し年間着地では計画を大幅に上回る見通しで推移している。

「『ミンティア』の販売金額の過去最高は238億円。少しでもそこに近づきたい。」と意欲をのぞかせる。

株式会社アピ 植物性素材 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)