カルビーグループ、さつまいもの品質向上と持続可能な生産方法を追求 おいしさや魅力伝える「さつまいも収穫体験会」も開催

 かいつかファームは、茨城県内に50カ所以上(約50ha)の圃場を運営し、さつまいも(甘藷)を中心に多品目野菜の生産・販売を行い、甘藷の品質向上と持続可能な生産方法を追求している。

 同社は、カルビーグループ・カルビーかいつかスイートポテトのグループ会社。

 甘藷の主要生産品種は、紅はるか。カルビーかいつかスイートポテトに供給され、貯蔵庫で熟成し甘さを引き出すといった複数の工程を経てオリジナルブランド「紅天使」などへと商品化される。

 かいつかファームは、地主からの依頼を受け農地を賃貸借して圃場を運営。かいつかファームの圃場では生産量を追求せず、品質向上に向けた試験的な役割を主に担っている。

 かいつかファームの試験的な試みで得られた事例はデータで蓄積され、契約生産者に共有される。契約生産者には種芋や苗も提供し、新規参入者には生産初期に必要なアドバイスやサポートも行っている。

 カルビーかいつかスイートポテトで使用する甘藷は、契約生産者によるところが大きい。

生分解性マルチ。甘藷を寒さから守る効果がある - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
生分解性マルチ。甘藷を寒さから守る効果がある

 今年の新たな取り組みとしては、生分解性マルチの試験的導入が挙げられる。

 これは、作物生育期には通常のポリエチレンマルチと同様の機能を有し、収穫後、土壌中の微生物によって分解され水と二酸化炭素に分解されるマルチとなる。

 11月9日、茨城県かすみがうら市の圃場(5000㎡)で開かれた「さつまいも収穫体験会」で取材に応じた、かいつかファームの齋藤翔太郎農場長は「マルチは近年、農業産廃で問題になっているが、生分解性マルチは畑に残らないマルチで環境にすごくいいと言われている。加えて、作業効率のアップやコストダウンにもつながる。マルチを剥がすのに費やす時間が不要となる」と語る。

かいつかファームの齋藤翔太郎農場長(右)とカルビーの野島眞スペシャリテ統括推進本部DCM事業部かいつか店舗運営課主任 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
かいつかファームの齋藤翔太郎農場長(右)とカルビーの野島眞スペシャリテ統括推進本部DCM事業部かいつか店舗運営課主任

 かいつかファームでは、苗づくりから収穫まで行っている、苗づくりでは、ウイルスを除去することで作物の持つ本来の能力を引き出すウイルスフリー苗も試験的に導入している。

 持続可能な農業の取り組みとしては、土づくりを追求。

 「本来であれば甘藷は連作可能な作物だが、最近ではよりよい土づくりのために休耕や同じ耕地に異なる種類の作物を交互に栽培する輪作に取り組んでいる」という。

 休耕の期間は1年間を基本に定める。

 「甘藷は連作可能な作物なため数年間は栽培を続け、管理をしていく上で生育の調子が悪いと判断した場合、その翌年は休ませる」と説明する。

つる刈り専用機 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
つる刈り専用機

 甘藷の収穫は8月から行われる。その中で紅はるかの収穫は9月中旬頃から開始され10月と11月が最盛期となる。収穫後の貯蔵性を高めるため霜が降りるまでの収穫完了を目指している。

 今年の収穫状況については「収穫自体は順調に進んでいるが、品質については昨年と今年の猛暑の影響で品質のバラツキがみられる」と語る。

 収穫にあたっては、つる刈り専用機を畝に走らせ畝に生える蔓を刈り取る前処理から始める。機械で刈り取り切れなかった蔓は、鎌を使い人の手で株元から刈り取っていく。

 効率的な収穫方法には、自走式馬鈴薯収穫機を使ったやり方があり、その際、蔓が生えた状態だと、収穫機の先金が土に入らないため、前処理を行う必要がある。

自走式馬鈴薯収穫機 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
自走式馬鈴薯収穫機

 自走式馬鈴薯収穫機では、前方と後方に2人ずつ乗り、前方で焼き芋に適した量目がある規格品(A品)を、後方で規格外(B品)をコンテナに入れていく。

 「コンベアで上がってくるものを瞬時に目と手の感覚で量目を選別し、虫がついたり病気にかかっている芋も選別しないといけない」という。

 今回で10回目の開催となる収穫体験会は手掘りとなる。午前と午後の2回開催され、午後には8組の親子が参加した。

 収穫体験会の目的は、甘藷そのものの理解を深めてもらうことと、カルビーかいつかスイートポテトブランドの認知向上にある。

 カルビーの野島眞スペシャリテ統括推進本部DCM事業部かいつか店舗運営課主任は「店舗での販売・接客に加えて、イベントなどオフラインでの顧客接点を今後強化していく」と意欲をのぞかせる。