カフェインレスコーヒーについて、睡眠への影響を気にしなくてよいなど効能が高いと思いつつ、味わいには満足していない――。
カフェインカットの割合が低いほど通常のコーヒーと味が変わらなそうと感じる――。
このような層が存在するとの見立てのもと、キーコーヒーは、カフェインカットコーヒーはカフェインレスコーヒーと異なる需要があると推察し、カフェインの量を30%オフした新商品「KEY DOORS+ ドリップ オン カフェインひかえめ マイルドブレンド」を9月1日に発売開始した。
8月1日発表した小笹明子R&Dグループ設計第一チームリーダーは、カフェインの量別購入意向に関する同社調査を引き「カフェインカットの割合が高いほど睡眠への影響を気にしなくてよいことが購入理由に挙げられ、カフェインカットの割合が低いほど通常のコーヒーと味が変わらなそうであることが購入理由として挙げられる」と説明する。
この調査結果などを踏まえ、カフェイン量を少しカットしたコーヒーにカフェインレスコーヒーでは取り切れない異なる需要を見込み、新商品を投入する。
「カフェイン・マネジメントという言葉が広がってきており、カフェインの摂取量を意識している生活者は我々が思っている以上に多いと考えている。“無理せず、おいしく、カフェイン・マネジメント”をコンセプトに掲げ新規カテゴリを開拓して需要を獲得していく」と意欲をのぞかせる。
新商品は、通常のコーヒー豆とカフェインレスコーヒー豆をブレンドすることでカフェイン量30%オフに仕立てた簡易抽出型のレギュラーコーヒー(ドリップコーヒー)。
「カフェイン量をひかえめにしながらもレギュラーコーヒー感をアップさせた。やわらかい苦みと軽やかなコクのある味わいが特徴」と胸を張る。
パッケージと入り数は、コーヒーユーザーの目に留まることを考え、箱タイプの5杯分よりも店頭で視認されやすい袋タイプの10杯分とした。
カフェインレスコーヒーとは異なる商品であることを鮮明に打ち出すため、既存品のカフェインレスコーヒー(紫色)とはあえて異なる色調(茶系)にした。
新規カテゴリ開拓商品ということもあり、様々な施策を予定し認知獲得にも取り組む。
菊地恵一市場戦略部長は「イベント参加やサンプリングなどを考えている。いろいろなツールを活用して回転(一店舗あたりの売上げ)を上げていくことも計画している」と語る。
ターゲットは、50~70代の従来のメイン購買者に加えて、若年層を含めた新たな購買層を想定する。
インテージSRI+によると、カフェインレスコーヒーの販売金額は、2022年10月から23年9月までの1年間で前年同期比8.2%増の46億1000万円。19年同期比では1.4倍弱の伸びとなった。
このうちレギュラーコーヒーはドリップコーヒーを中心に拡大している。
小笹氏は「カフェインレスコーヒーは通常コーヒーと比較し、女性30~60代まで幅広く購入している。若年層をターゲットにしている『KEY DOORS+』としては有効なカテゴリ」との見方を示す。