アイルランド産魚介類 高品質・高付加価値で日本市場開拓へ 7社がシーフードショー出展

広大な大西洋がもたらす海の恵みによって育まれる、アイルランド産シーフード。同国独自の食品サステナビリティプログラム「オリジングリーン」に参加する水産事業者によって、海洋資源の保護に配慮した持続可能な漁業が行われている。

輸出に力を入れるアイルランドの水産業界が、とりわけ重視するのが日本市場だ。8月に東京ビッグサイトで開催された「第26回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」には、同国のシーフードサプライヤーがコロナ後初めて参加。日本の顧客に向けて、高品質の製品をアピールした。各社の取り組みを紹介する。

〈イリーガル・ベイ〉 顧客ニーズに寄り添う商品開発

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
フランシスコ・モリヤス氏

1962年の創業以来、高品質な魚貝類の加工を手がけてきた。北西部に位置する工場は、IFS(国際食品規格)の最高ランク認定を取得。ラングスティーヌ(手長えび)、つぶ貝、カニ、ベルベットクラブなどを世界に輸出している。

「日本は弊社の最大の取引先。アイルランドは小さな島国なので、毎日のように水揚げしてフレッシュな状態で提供できるのが特色だ」と話すのは同社国際ビジネスマネージャーのフランシスコ・モリヤス氏。

顧客の多様なニーズに合わせたきめ細かい提案が強み。「お客様とともに商品開発をするときに重視するのは、スーパーや外食などそれぞれの業態の特性に合わせ、競合相手と差別化を図ること。また各市場の嗜好に合った商品をご提供することが成功のカギだと考えている」。

〈キリベッグス・シーフード〉 最高品質のサバ・アジを供給

キリベッグス・シーフード - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

世界市場にプレミアムな品質の遠海魚を供給するサプライヤーとして、確固たる地位を構築。顧客満足度を重視しながら、革新的なプロセスと持続可能な手法への設備投資を通じて最高品質の製品提供に尽力する。主な取扱品目はサバ、アジ、ニシンなどの遠海魚。とりわけサバとアジは日本でも人気が高いといい、毎年来日して日本の顧客との信頼関係を築いてきた。

「日本でのビジネスで何よりも大切なのは品質。自社保有の漁船で漁獲した最高品質の魚を、工場で迅速に加工している。繁忙期には約2万5千tの冷凍魚を処理しており、なかでもトップクオリティの3千tを日本向けに販売している。今後も日本を第一の輸出先として、最優先に供給していく」(マネージング・ディレクター ジョン・マクギネス氏)。

〈マクブライド・フィッシング〉 天然のカニや貝を活きたまま

マクブライド・フィッシング - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

自社で漁獲した天然のブラウンクラブとヨーロッパ・ブルーロブスター、貝類などを、活きたまま国内外に販売する。川上から川下まで垂直統合型の家族経営。オランダに保有する保管/梱包施設から、12時間以内に世界中へ製品を空輸できる。

日本では代理店を通じた取引はあるもののまだ得意先を確立できていないことから、展示会では天然のシーフードを前面に企業の認知度アップへ積極アピールした。

「一番の強みは、養殖ではない天然もののプレミアムな貝類やブラウンクラブを供給できること。日本市場での認知度を高め、長期的な関係につなげたい」(国際セールスディレクター ルーク・マクブライド氏)。

〈プレミエ・フィッシュ・プロダクト〉 最新鋭の設備を導入

プレミエ・フィッシュ・プロダクト - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

北大西洋の魚介類が豊富な海域で獲れる遠海魚を加工するため1981年に設立された、アイルランド有数の水産加工業者。自社船で漁獲した魚介類の品質を直接管理し、最高品質のシーフードを安定供給する。増え続ける需要に応えるため、北部のキリベッグスに最新鋭の加工工場を開設。水揚げ港からわずか数分の場所に位置しているため、迅速に加工した製品を新鮮な状態で届けることができる。

「ロイヤルティの高いお客様が多い日本と取引できるのは素晴らしいこと。40年にわたりお取引いただいているお客様もいる」と話すのは、ゼネラルマネージャーのマーティン・ミーハン氏。

「常に品質向上を心がけ、最先端の設備を導入。漁船に関しても海上で冷凍できる設備を導入するなど、他社を常に品質で上回ることを目指している」。

〈ソフリマー〉 つぶ貝の最大サプライヤー

ソフリマー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

地元産の高級魚介類を、世界中の市場に輸出する。貝類や白身魚を活魚やチルド、調理品、低温殺菌、MAP、冷凍、海上冷凍などさまざまな形態で提供。カニやロブスターなどのほか、アイルランド最大のつぶ貝加工業者として知られ、寿司ネタとして日本企業へ長期的に生つぶ貝を供給するサプライヤーでもある。日本とは30年以上の取引があり、高品質な食材を求める寿司店からの支持も高い。

「アイルランド水産品の強みは、世界で最もクリーンな海域で漁獲されること。弊社の工場はカニやロブスターの漁港から15分くらいのところにあり、鮮度を保ったまま加工できるのでトップクオリティを担保できる」(ディレクター ローキャン・バーデン氏)。

〈ワード・フィッシュ〉 要望に応じた加工を強化

ワード・フィッシュ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

1998年に設立され、主にヨーロッパ、日本、アフリカに向けて遠海魚の加工と輸出を行う。自社保冷庫を備えた最新鋭の冷凍工場へと成長し、遠海漁業の製品を世界中に供給している。今年から稼働を始めた最新鋭の工場では、骨抜きやJ-CUT IQFサバのフィレ(塩サバ、無塩サバ)、切り身、真空パックを製造するほか、顧客の要望に応じた加工も可能だ。

これに合わせ、新工場の加工機能を前面にプロモーションを展開する構え。

「お客様の求めるスペックに合わせた対応を強化する。一番興味を持っていただいているのは小売店。また水産メーカーからは最終製品を日本で製造するための原料としての引き合いがあり、当社としてもバックアップしていきたい。付加価値を高め、顧客の要望に沿った製品を提供することで、事業として成長させられると考えている」(アジアセールスマネージャー 伊藤義文氏)。

〈グレンマー・シェルフィッシュ〉 刺身で提供可能なスカンピ

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
グレンマー・シェルフィッシュ

30年を超える経験と革新を誇る、アイルランドの水産品輸出大手。生鮮品から調理済み、低温殺菌済み、生冷凍、海上冷凍の刺身グレードまで、さまざまな高付加価値製品を提供する。

製品は厳格な品質基準と規制のもとで加工され、顧客の満足と信頼を獲得。手作業で皮をむいたスカンピ(手長えび)も生産する。ダブリンに加工・流通センターを開設し、冷凍・生鮮のシーフード世界に輸出している。

今回は日本市場を新たに開拓することを目指して出展。

「当社はフランス、イタリア、スペイン、中国などで地位を確立しており、日本でも高級シーフードを取り扱うパートナーを見つけたい。主力はスカンピ。釣った後に船上で活きたままパッケージされ、-60℃で急速冷凍。刺身としても提供できるグレードの製品だ。日本市場の厳しい要求にも応えることができる、最高品質のご提供をお約束する」(ジュアン・ブラネスCEO)。