10.1 C
Tokyo
9.4 C
Osaka
2025 / 12 / 09 火曜日
ログイン
English
トップニュースフルタ製菓、カカオ豆高騰・ガーナ産調達難の逆風に挑む コストダウンと価値向上の両立へ定番刷新

フルタ製菓、カカオ豆高騰・ガーナ産調達難の逆風に挑む コストダウンと価値向上の両立へ定番刷新

フルタ製菓は、主力チョコレート商品の主原料であるカカオ豆の高騰などを受けて定番商品の刷新を予定。4月26日、取材に応じた古田盛彦社長は「今年に入り、契約したカカオ豆が運ばれてこないという事態が発生し、カカオ豆の価格が前年に比べ4倍に跳ね上がった。コストダウンを図りながら新しい味を生み出し価値を向上させるべくポケット菓子などを刷新していく」と語る。

契約したカカオ豆が運ばれてこなかったのは主要産地国のガーナ産。農家からカカオ豆を一括して買い上げる政府の監督機関がデフォルトにより機能しなくなったためだという。ガーナと隣国のコートジボワールでは農家との直接取引が禁止され、密輸が横行しているという報告もなされている。

「ガーナの代替品はあり、ガーナとコートジボワール以外の国はそんなに減っていないが、やはり品質が一番安定しているのはガーナ産。仮にガーナ産が半減してしまうと、世界の供給量は10~15%減ってしまう」との見方を示す。

古田盛彦社長
古田盛彦社長

見直しを検討しているのが昨秋に刷新したポケット菓子の「セコイヤチョコレート」。出足好調だったものの、洗練されたデザインが裏目に出た。

「看板商品としてこれからも育成し続けていくのだが、昨年は商談のタイミングに間に合わず物足りなかった。『セコイヤチョコレート』は庶民の駄菓子の存在であるのにもかかわらず、デザインを変えたことで実際の価格以上の高価なものにみえてしまい、親しみやすさが失われてしまった」と振り返る。

このような消費者の反応は、フルタ製菓直売所「ふるたす」から鮮明に得られるようになったという。

2022年11月、「ららぽーと堺」(大阪府堺市)に「ふるたす」1号店を出店。続く2号店を今年4月26日、「リノアス」(大阪府八尾市)地下1階にオープンした。

「1号店で様々なお客様から反応があり、われわれが捉まえている情報と異なることがある。バイヤーさまや問屋さまの事前評価がものすごくよい商品も『ふるたす』で先行販売すると全く売れないことがあり、その逆も然り」と説明する。

事前評価が低かったものの、人気が根強い商品としては「ポテトアップルパイクッキー」「丸福珈琲店クッキー」「甘熟王バナナクッキー」の焼き菓子3品を挙げる。
ファミリーチョコレート・ポケット菓子・チョコエッグ・焼き菓子の4本柱の中で、焼き菓子は伸び盛りになっている。

直近では3月11日に新発売したコラボクッキー「リプトン紅茶クッキー」がヒット。これは、入社3年目の社員の発案から開発されたもので、ミルクティークッキーとレモンティークッキーをアソートしている。

「コラボクッキーは過去にも展開していたが、2つの味をアソートした点に新しい価値がある」と述べる。

販路も広がりをみせる。「当初、スーパーさまを中心に販売する予定であったが、『リプトン』ブランドでは紙パック紅茶飲料も展開していることから、一部のコンビニさまにも採用された」という。

ファミリーチョコレートについては「価格を維持するということではなく、価格と商品の魅力のバランスをしっかり考えながら商品を提案していく」。

ポケット菓子は前述の「セコイヤチョコレート」の反省を踏まえ「一番フルタらしさをイメージしていただいている商品群になるため、できるだけイメージを守っていく」。

若年層の取り込みに手応えを得るのはチョコエッグなどの玩具菓子。

「お子さまに好評を博しているほか、20代後半から30代の女性層に何らかのインパクトを与えることができると売れ行きがかなり良くなる。女性層にも反応していただきやすいキャラクターを引き続き提案していく。SNSが普及する中で瞬発的に出すと売れる商品も考えていきたい」と意欲をのぞかせる。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。