食品の値上げが相次ぐ中でコメの価格は安定しており、“食品の優等生”として注目されている。ご飯と合う食品は数多いが、中でも漬物との組み合わせは中高年に馴染み深く、相性抜群のコンビだ。売上アップに向けて、秋の新米シーズンにご飯と漬物の名コンビを訴求する売場企画を実施し、需要喚起を図りたい。
今年ここまでの漬物の販売はやや低調だ。需要喚起を図りたいところだが、業界は諸物価高騰や円安に伴う価格改定のただ中にあり、従来のような価格訴求が難しい。価格訴求以外の対策が求められる中、多くの業界関係者が期待しているのが名コンビの復権だ。
原材料価格の高騰を受けて、食用油、マヨネーズ、パン、麺類などが大幅に値上がりしている。食品の値上げが相次ぐ中で、コメの価格は比較的安定している。21年産のコメは今年4月に20円値上がりした以外は値下がり傾向にある。在庫も豊富で、「食品の優等生」として注目されつつある。
そのコメに合う食品は、納豆、たらこ、生卵、ふりかけ、佃煮などいろいろある。漬物もその一つで、ご飯によく合う漬物は沢庵、梅干、白菜や胡瓜の浅漬、野沢菜漬、しば漬、大根のみそ漬など枚挙に暇がない。近年もすが野の「ごはんにかけるごぼうと昆布」のようにご飯との相性の良さを打ち出したヒット商品がある。
ダイエット目的で避けられることもある米飯だが、ご飯はよく噛むことでゆっくり食べることにつながり、満足感がアップする。また、よく噛むことで胃腸での消化が促進され、栄養がより吸収されやすい。油分を必要としないおかずにもよく合い、パンや麺には合わせにくい食材や料理との相性も良い。
さらに漬物には多くの栄養が含まれている。漬物と言うと塩分が気になるが、近年は減塩漬物が売場に定着している。健康のためにも日々の食事へうまく取り入れたい。
今秋はご飯と漬物の好相性を売場企画で分かりやすく訴求し、節約志向が強まる消費者の心を動かしたい。「新米に合うご飯のお供フェア」や「新米に合うオススメ漬物フェア」などさまざまな企画が考えられる。
ご飯と漬物は中高年には当たり前の組み合わせだが、若年層には“食の昭和レトロ”的な新たな発見があるかもしれない。光熱費や食品などあらゆる物価が上昇するいま、家計に優しいコメとその名コンビである漬物に生活者の目を向ける好機が訪れている。