「ポストコロナ」にらみ利益重視にシフト PPIH・吉田直樹社長CEO

ポストコロナをにらみ利益重視に舵を切ったパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)。前6月期業績は、為替を含めた海外事業の貢献に加え、「戦略施策であるPB/OEM強化やプライシング精度向上が通期で効果をあげ、既存店の粗利率が0.5ポイント改善した」というディスカウント(DS)事業が牽引し、営業利益は過去最高を更新した。今期からは国内リテール事業の統合に着手。より効率的な運営体制の実現を目指す。

「利益重視」に移行完了

2022年6月期の営業利益は過去最高の887億円を達成することができた。前期は営業活動のギアを「コロナ」から「ポストコロナ」へとシフトするよう全体のシフトチェンジを図った。国内では2020年3月以降、インバウンドの売上が消滅したため、売上の大幅減を経験した。販管費をカバーする上で必要な売上高の一定の回復が見られたため、われわれのフォーカスを営業利益にシフトするという2019年に約束した利益重視に移行できたことになる。

「Visionary 2025/2030」では、国内事業は22年6月期766億円の利益から、25年6月期に営業利益930億円を目指す。国内事業のこの3カ年の第一の大きな柱は、PBへのシフトを加速させることだ。定量目標として、向こう3カ年でPB/OEM売上構成比率27.5%を目指す。PB/OEM比率を高める意味合いは、粗利を確保しながら、お客様にとっていつもサムシング・ニューを見つけることのできる魅力的な買い場を作り続けることと考えている。

ただ単にNB商品の置き換えをするだけでなく、当社の店舗イメージに合った「CV+D+A」(コンビニエンス=利便性、ディスカウント性、アミューズメント性)を発揮できるPB/OEM商品を開発し、リリースしていく。NBを含む全商品に、顧客からのフィードバックを反映させ、次のPB/OEMの商品開発や、買い場で取り扱うSKUの選定、絞り込みを行っていく。前期より重視している在庫回転率の強化がこのサイクルを駆動させるための役割を担い、より早く、そして深いニーズに応えた商品構成に近づけていく。

ユニー「チェーンストア的経営」から脱却へ

この3年においてPPIHのSPA化を進めるため、そのノウハウの向上(企画力、開発力、プライシング、商品サイクルと回転率、顧客を巻き込む徹底的な仕組み作り、プロモーション)に努め、さらに今年10月1日と来年2月1日には商品部の大規模な組織改革、DS事業とGMS事業の商品部統合を行い、これらのノウハウを飛躍的に向上させる。

DS事業とGMS事業の異なるところは顧客層だ。大きくこの2業態を維持する方針だが、ユニーの買収から3年を経た今、ユニーがチェーンストア的な経営から脱却し、商品部の統合など、従前のPMIより一歩踏み出した統合を断行する。PBなどの主要施策はDS事業のみならずGMS事業にも当てはまり、このタイミングで国内リテール事業のさらなる統合を行うことで、より大胆かつ効率的な運営ができると考えている。