米粉業界がざわついている。今春、麦価が12%ほど上がり、ロシアによるウクライナへの侵略戦争の影響が織り込まれる今秋には、さらに40%ほど上がるといった観測もあり小麦の代替え需要が拡大していくというのがその理由。
▼5月に農林水産省が発表した資料ではキロ当たりの麦価は60円、新規需要米の米粉は50円とすでに逆転し、製粉コストは麦が50円程度で米粉は大手なら50~60円程度とイーブン。その上、政府は米粉メーカーに対し、設備投資はもちろんのこと時間外労働に対しても助成金を用意している。
▼10年前、国が鉦や太鼓で作り出した官製の米粉ブームがあったが、その時は関心の低かった製パンメーカーや菓子メーカーなど小麦粉2次加工メーカーも、本気で米粉を混ぜた商品開発に取り組み始めるなど風景は一変した。
▼ただ、やっかいなのはあまりにも麦価が高騰すれば、パンやパスタではなく直接炊飯したコメを食べるようになり、米粉向けの加工用米が足りなくなるか、あってもそれなりの価格になるという懸念。いつになっても米粉業者の苦労は絶えない。