ピーナッツ失速 ナッツ人気の陰で振るわず 国産品育成に活路期待

健康性とコストパフォーマンスの高さから、おつまみやスナックとして幅広い人気を誇るピーナッツ。3年ほど前には薄皮に含まれるポリフェノールの機能性がテレビや雑誌で相次ぎ取り上げられ、健康維持や美容のために食べるユーザーが拡大した。ただ、ここにきて失速しているという。その背景とは。

「この1年間、ピーナッツの消費が低迷している。コロナ禍の中で消費者の健康志向がナッツ類の消費に向かい、ピーナッツが見過ごされた感がある」。日本ピーナッツ協会の田畑繁専務理事は語る。

本来は豆類である落花生(=ピーナッツ)だが、これを豆菓子として販売する各社は、食シーンが重なるナッツ類も同時に取り扱っているのが通例。売上規模や利益率の低いピーナッツ製品への販売ドライブがかからないことも、消費低迷の一因だと田畑氏は説明する。

国内供給量の約7割を中国産が占めるものの、産地とは無関係にピーナッツそのものの需要が減っているとみる。

昨年の輸入量は煎り落花生が前年比22%減、バタピーが9%減など全般に落ち込んだ。日本側からの引き合いが少ないこともあり、中国の元高にもかかわらず輸入価格は安定している。

ただ同じ中国産原料でも、輸入原料を国内加工した製品と、現地加工の中国製品との価格差は大きい。コロナ禍で消費者の節約志向も高まり、各社とも付加価値の低い中国製品の販売へと軸足をシフト。このことがさらに販売意欲の低下につながる「逆スパイラル」に陥っている形だ。

「ピーナッツの健康機能はナッツ類に劣らないものの、訴求力においてアーモンドをはじめナッツ類に押されている。コロナ禍でPR活動もままならない中、ナッツ類は大手企業やマスコミなどによる頻繁な訴求が功を奏し、ピーナッツはその後塵を拝する状況だ」と田畑氏は悔しがる。

活路として期待するのが国産落花生の育成だ。国産品はここ数年、収穫時期の天候不順で生産量、品質にも問題があったが、高値にもかかわらず生産量に見合う消費量で良好な需給バランスが続く。農家にとってもコロナ禍で野菜の消費が低迷する中、安定した需要が見込める落花生の栽培に着手するケースが出てきている。昨年の国内生産量はおおむね平年並みの収穫量となり、品質も良好。

「輸入品に頼っている現状を打破する切り札は、やはり国産。コロナが収まれば、業界として農水省の協力も得ながら落花生の新たな産地育成に取り組みたい」(同氏)として、北海道などでの新産地開発に意欲を見せる。