「オールフリー」など度数0.00%のノンアルコール飲料の市場拡大を目指すサントリーでは、今年も同カテゴリーにさらに注力する。
同社では、昨年のノンアル飲料の販売数量は前年比117%(1千641万ケース)と好調。今年は顧客の嗜好やシーンに合わせて選べるようラインアップを拡充するとともに、より魅力を伝えるために商品展開にとどまらない提案にも取り組む。
21日の会見で説明したサントリーBWSの鳥井信宏社長は「サントリーはこれまでもさまざまな酒文化創造に取り組んできた。次の一手として、ノンアルコール文化の創造に挑戦したい」と表明。「単なるお酒の代替品ではなく、アルコール0.00%であることで、今までより多くの方々に多くのシーンを提供できる。お酒にも清涼飲料にもない新しい魅力を持ったカテゴリーだ」として、「アルコール0.00%のお酒」の価値提案を強化する考えを示した。
かつてのビールテイスト飲料は1%未満の微量のアルコールを含んでいたが、09年にキリンビールが発売した「キリンフリー」を皮切りに、「0.00%」の開発競争が始まる。
サントリーでは10年に「オールフリー」を発売。翌年にはレモンサワーテイスト「のんある気分」を発売するなど、市場拡大に貢献してきた。近年も、健康意識の高まりに応える機能性表示食品「からだを想うオールフリー」やレモンサワーテイスト「のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール」を相次ぎ発売。3月には新たにワインテイストの「ノンアルでワインの休日」を発売するなど、商品の多様化を進めている。
同社ではビールテイスト、サワーテイストといった種類ごとではなくノンアルコール飲料全体をひとつの市場と捉え、新規ユーザーの獲得や継続的な飲用を促進。市場活性化を図る考えだ。
5月にかけての大型連休期間中には、東京駅一番街「東京グルメゾン」内に「のんある酒場」をオープン。度数0.00%のさまざまなノンアル商品に加え、同店でしか味わえないオリジナルメニューを提供。多彩な楽しみ方を伝える。
競合他社では、アルコール分0.5%の「ビアリー」「ハイボリー」(アサヒビール)、0.7%の「サッポロ ザ・ドラフティ」(サッポロビール)など、1%未満のアルコールを含む微アル飲料で新たな飲用シーンを開拓する動きも活発だ。
酒税法上はいずれも「清涼飲料水」の扱いだが「たとえ少量でもお酒を飲めない人はいる。やはり0.00%とそうでないものは明確に区別してご提案すべきだと考えている。微アル商品については、当社はまだ検討していない」(常務執行役員 林正人氏)として、サントリーとして今のところこうした動きとは距離を置く考えのようだ。