カゴメ 第3次中計「総仕上げ年」 既存領域で事業利益150億円

カゴメの山口聡社長は3日、オンラインで12月決算と第3次中期経営計画を発表した。2025年を最終年度とした第3次中計(22~25年度)は、「25年のありたい姿」(社会課題解決、持続成長できる強い企業)と「長期ビジョン」(トマトの会社から野菜の会社)に向け、「総仕上げの4年間」に位置づけ、「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「持続可能な地球環境」に取り組む。

25年の定量目標はオーガニック領域(既存事業)の成長だけで売上収益2千120億円、4年間の平均売上成長率2%以上、インオーガニック成長として別に売上収益300~500億円を目指す。事業利益はオーガニック領域だけで150億円、事業利益率は7%以上を確保する。インオーガニック領域における成長の一部として、シナジーが創出できる企業との協業やM&Aも積極的に検討。第3次中計中に300~500億円の事業投資を計画している。

植物性領域ではプラントベースフードのスタートアップ企業「TWO社」に5億円を出資しており、共同開発商品の展開に着手。「第3次中計中の国内加工食品、農、国際の3事業における構成比に大きな変動はないが、国内加工食品の構成比は多少アップを予測。プラントベースの飲料は、700億円強の豆乳市場の中で植物性ミルクと野菜を組み合わせた商品で売上をつくり、新製品の『畑うまれのやさいミルク』に期待。プラントベース食品は10~20億円の市場規模と理解しており、TWO社との協業を見据えながら25年までに10億円程度の売上にしたい」との考えだ。

12月期決算の売上収益は前期比3.6%増の1千896億円、事業利益は4%増の141億円、営業利益は31.2%増の140億円、当期利益は31.5%増の97億円とすべての段階で増収増益だった。セグメント別は国内農事業を除き増収。飲料は「野菜生活ブランド」(101%)、「野菜一日これ一本(一杯)」(105%)はプロモーション効果で増収減益。「つぶより野菜」(103%)、「野菜スープ」(114%)、「サプリメント」(116%)の通販は定期顧客を目的とした広告強化で増収減益。食品他の家庭用は内食需要の反動減で減収も、業務用は回復基調にあり2.9%増収。事業利益は販促増加や原材料高騰で減益。国内農事業は減収増益。国際事業は増収増益(14倍)。

今年は、野菜摂取促進や野菜生活ファーム富士見の活用、サイトを通じファン・ベースド・マーケティングを推進。飲料は植物性領域強化と機能性表示食品の拡充、通販強化。食品他は“焼き”ケチャップ提案や「大豆ミートのタコライス」「彩り野菜と大豆ミートのガパオ用ソース」発売でプラントベースを拡充。国内農事業は野菜キャンペーンによる需要喚起。国際事業は回復基調の米国など3か国で牽引する。これらを通じて3セグメントで増収を見込んでいる。