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2024 / 11 / 29 金曜日

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豊かな海が育むアイリッシュ シーフード 輸出に重点、日本市場が大きな柱に 品質への認識高まる

数々のおいしい魚介類で知られるアイルランド。壮大なゆりかごのように国土を取り囲む雄大な大西洋によって豊かな海洋環境が提供され、天然魚介類と養殖魚介類の両方を育んでいる。

自然の栄養分をたっぷりと含んだ海流が海洋生物に豊富な栄養を与えることで、それぞれの魚介類の格別な風味と特徴が生まれる。

アイルランドのすべての水産物輸出業者は、同国独自の食品サステナビリティプログラム「オリジングリーン」に参加。環境への影響を軽減し地域社会の発展に貢献することで、海洋水産養殖資源を保護することを目的とした、世界でも類を見ない国を挙げたプログラムだ。

輸出に力を入れるアイルランドの水産業界が、とりわけ重視するのが日本市場である。アイリッシュ シーフードの対日輸出量は昨年には前年の反動から落ち込んだものの、数量は7504t、金額にして1,490万ユーロ(約250億円)と高水準を維持した。過去4年間でみると、日本市場への輸出は数量10.3%、金額で42%の増加となった。持続的な貿易関係は、アイルランドの高品質なシーフードの主な輸出先としての日本の重要性を浮き彫りにしている。

アイリッシュシーフードの日本輸出量統計2020-2023 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

日本市場に多額の投資を行っているアイルランドの水産業界では、サバやラングスティーヌ(手長えび)、ロブスター、貝類の主要輸出先のひとつとして注力する。

このうちサバやアジをはじめとする主力の遠海魚の対日輸出量は、23年には7,384tに達した。日本はアイルランドにとって、この分野で世界2位の輸出市場。消費者レベルでも、同国の高品質なシーフードに対する認識が高まっていることを裏付けている。

さらに近年躍進が目立つのが、ツブ貝をはじめとした貝類だ。日本での需要再燃を背景に、昨年の対日輸出量は前年比447.6%増(12t)と急増した。その多くが刺身向け。アイルランド産貝類は多くがまず第三国に出荷され、加工された後に日本に再輸出される。このため実際の輸出量は、統計上の数字よりもはるかに多いとみられる。

また加工魚介類も近年大きな伸びを示している。23年には108.4tを日本に輸出。コロナからの回復もあり、20年から比べて337.2%の増加となった。アイルランドの海洋が育む優れた風味と栄養の魚介類が、これら優れた付加価値製品の基盤。さらに同国の高度な食品加工技術によって、舌の肥えた日本の消費者を満足させる製品が生み出される。

今日、食料の持続可能性に対するアイルランドの取り組みは国際社会での認識が進み、高く評価されている。これは、国際市場からのアイリッシュ シーフードに対する需要が増え続けていることと、輸出が着実に増加していることからも明らかだ。アイリッシュ シーフードは世界70か国以上に輸出され、その額は約720億円に達する。

日本の業界と連携強化 加工技術でもサポート

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

アイリッシュ シーフードの有力市場である日本では、主力とするサバやアジの認知度確立とともに、生のツブ貝やラングスティーヌなどのプレミアム貝類・甲殻類も高級ホテルやレストランなどの外食産業で着実に支持を広げつつある。

アイルランドの遠海魚の革新的な加工技術によって、今年から個別急速冷凍のサバ切り身、スプラット、ニシンなどの新しい形状の製品が日本市場に提供される予定だ。これらを製造する最先端の施設では、骨なし、J-CUT 個別急速冷凍サバのフィレ(塩漬けまたは無塩)、真空パックの切り身など、その他の付加価値のある形状加工も可能だ。

アイルランド食品・飲料のPR・情報発信など販売促進活動を行うアイルランド政府食糧庁(ボード・ビア)では、日本のユーザーに同国産魚介類を安心して選んでもらえるよう、日本の水産流通業界との交流・連携を深めている。

「ヨーロッパの西端にある島国のアイルランドは、冷たく澄んだ大西洋に囲まれ、手付かずの自然環境に恵まれています。これにより、この国は多様な天然海洋資源とヨーロッパで最も豊かな漁場を有しています」

そう語るのは、ボード・ビアの水産部門マネージャーであるカレン・デヴェロ氏。

「これは、豊かな海と自然に恵まれ、魚介類が国民の食文化に重要な役割を果たしている日本との共通点でもあります。より多くの日本の消費者の皆さまにアイリッシュ シーフードを味わっていただけるよう、アイルランド産魚介類のプレゼンスを高め、輸入を促進する活動を日本で強化します」

今年は、日本人の消費者にアイルランドのさまざまな魚介類をできる予定だという。なかでも冷凍ラングスティーヌ、ヨーロッパ・ブルーロブスター、さまざまな形状のブラウンクラブ、ツブ貝、マテ貝、および遠海魚の主力であるサバとアジをアピールしたい考えだ。

強みの加工技術でも顧客をサポート。骨なしサバの切り身や、顧客の仕様に合わせたサイズの骨なしサバのポーションなど、さまざまな個別急速冷凍形式を用意しているという。

8月にシーフードショー出展 サプライヤーとの交流イベントも

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)

また8月に開催される「第26回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」には、コロナ後初めてアイルランドのシーフードサプライヤーが参加。高品質の製品を展示・紹介する。

「日本の輸入業者とアイルランドのサプライヤーが直接会って、つながることができる機会を提供できるよう、さまざまなイベント案も企画しています」とデヴェロ氏は説明する。

水産業界の一大イベントであるシーフードショーは、8月21日~23日にかけて東京ビッグサイトで開催。日本各地の地元食材から世界の水産原料に至るまでのトレンド、業界の新技術、サービスなどが紹介される。

アイリッシュ シーフードのプレミアムなサプライヤー6社も、今回のEXPOに参加。ラングスティーヌ、ヨーロッパ・ブルーロブスター、アカガニ、ツブ貝、マテ貝、サバ、アジなど、同国を代表するさまざまな製品を展示する。

さらにボード・ビアでは、アイルランドのサプライヤーと日本の輸入業者に向けた交流イベントを企画。情報交換やネットワーキングを通じて、新たなビジネスチャンスの開拓につなげる。