味の素AGF、退職後の経験を新しい価値として受け入れる「戻っておいで」「おかえり」の新発想 カムバック採用制度を導入

 味の素AGFは、退職後の経験を1つのキャリアと捉えて新しい価値として受け入れる「戻っておいで」「おかえり」の新発想で10月1日からカムバック採用制度を導入している。

 同制度は、育児・介護・配偶者の転勤などの諸事情で退職せざるを得なかった元社員や学業・転職などのキャリアアップのために退職した元社員らを対象に入社試験資格を与えるもの。

 退職後に得た多様な知識・経験・スキルを活かしていくのが狙い。

 12月11日取材に応じた竹内秀樹社長は「外部経験を経てAGFへのロイヤリティを持って戻られた方というのは力を大いに発揮される可能性がある。一度入られた方は優秀な方なので、その優秀な能力をもう一度当社で発揮してほしい」と呼びかける。

味の素AGFの竹内秀樹社長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
味の素AGFの竹内秀樹社長

 カムバック採用発案の背景には、コロナ禍による環境変化がある。

 「コロナ禍によって新しい生活様式が取り入れられるとともに働き方も見直された。世の中的に転職など人材の流動化が当たり前になり、1つの会社だけに留まらない方が増えている」との見方を示す。

 AGFでも一部で離職の動きがみられたものの、離職者の中で他社に転職した社員から竹内社長の耳にも漏れ聞こえてきたのは「戻ってきたい」との声だという。

 「離職して外に出ることでAGFのよさを改めて実感されるのだと思う。そんな“戻りたいけど戻れない”方に門戸を開き、これによりAGFとしても優秀な人材を確保し現状打破につなげる。カムバック採用制度はいわば相思相愛の施策とも言える」と語る。

 AGFホームページ上の応募フォームから随時エントリーできるようになっている。応募者は、通常のキャリア採用と同じ書類選考・筆記試験・面接などを経て、本人希望と会社ニーズが合致した場合に採用される。

 カムバック採用制度の導入は、従業員一人ひとりがその能力を十分に発揮し多様な働き方を選択できる職場環境構築の一環。
 「もっと社員に寄り添い、社員の自己実現やウエルネスがより叶えられることに主眼を置き、人事の諸制度を変更した」という。

 カムバック採用制度のほかに新設された制度に手挙げ制度がある。

 手挙げ制度は「部署に“誰が欲しい”と聞く公募とは視点が逆で、“私はこんなところで自分の能力を発揮したい”といったように、自己実現したいことを表明してもらい、その表明に対して会社も前向きに考えていく」ものとなる。

 8月1日に開催した設立50周年記念式典も社員の自発的な発案による組織横断型のプロジェクトによるものだという。式典ではギネス世界記録「オンラインで同時にコーヒーを作った最多人数」に挑み見事690人で記録達成した。

 「手挙げ制度では、若手社員にとどまらず、“私にも一言言わせてほしい”“若手に私の持つノウハウを伝えたい”といった中堅社員も出てきて、会社が物凄くオープンになってきた。会社と社員の距離も狭まり“厳しい環境だがみんなで頑張ろう”という良い流れになってきた」と述べる。

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