均一化の功罪

12月といえば「第九」を聴いてバレエは「くるみ割り人形」を観なくちゃ年を越せない質であるが、この師走は多忙すぎて、いずれも鑑賞できない可能性がでてきた。せめて本でクラシックの世界を楽しもうと、中川右介氏の「世界の10大オーケストラ」を読んでいる。

▼聖子と明菜でアイドル論を、カラヤンとフルトヴェングラーでクラシック論を、團十郎と歌右衛門の比較では歌舞伎論をと、秀逸な作品が多い方だ。この作品では彼本来のオタク性はさほど発揮されていないが、クラシック愛好者にとっては情報を整理するのに便利。

▼読後に気が付いたのは、ベルリンの壁崩壊以降の記述がない点。そこから読み取れるのは、音楽芸術も政変や弾圧など外部から受ける艱難辛苦や葛藤あってこそ指揮者、オーケストラの個性が際立つということ。

▼平和な世ではオケ全体のレベルアップは実現するが、必然的に均一化していく。寡占化が進む食品業界でも同様か。均一化することは消費者が享受するメリットも数多いだろうが、食の魅力が半減する危惧もはらむ。注意が必要だ。

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