旭酒造 清酒「獺祭」 山田錦3.5万円で購入へ 高品質化、農家の未来に

清酒「獺祭」醸造元の旭酒造は、独自の品質基準をクリアした酒米「山田錦」について、現行から約30%増額となる1俵(60㎏)当たり3万5千円で購入することを決めた。同社が使用する酒米は全量が山田錦で、全酒蔵の中でも購入量(21年度産15万俵・9千t)がもっとも多い。「獺祭」のさらなる高品質化と生産者の未来に貢献することを目指す。

22年秋以降に購入する山田錦から、高精白に適しているか独自の基準で検査を開始する。いったんは各県の基準価格や等級に応じた条件(約2万5千円前後)で購入した後、改めて同社内で再評価を実施。「獺祭基準」を満たすと判断した山田錦は、全量について1俵3万5千円との差額を後日追加で支払う。

独自検査は高精白に適しているかという視点を重視。既存の項目(粒の大きさ、胴割れの少なさなど)に加え、「心白が小さく米の中心に位置し、圧倒的な高精白の精米に耐え得る米であること」を求める。責任者は同社で精米チームを12年経験している榎本崇芳氏が担当。

「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」をはじめ、精米歩合にこだわってきた同社は「現状の穀物検査が完全無欠のものだとは思っていない。特に基準ができた当時と現在では高精白の日本酒が大きく増加。そのトレンドに合致しているとは言い難い」とコメント。

また、「19年から開催している『最高を超える山田錦プロジェクト』を通じて認識を新たにした」とし、「既存の評価基準だと酒米の心白は大きい方が良いとされるが、精米時に割れやすく高精白に適していない。逆に低評価されてきた小さい心白の米は、実は高精白に耐え得る上、その後の麹造りや発酵で優れた特性を発揮することが判明している」と説明。既存のルールにとらわれず、独自基準をクリアした山田錦を適正価格で購入することで、結果的に「獺祭の高品質化」「世界での評価アップ」「生産者の未来」などにつながると考えたという。

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