大阪野菜に学ぶ知恵

関西の野菜と言えば、九条ねぎや加茂なすなど、いわゆる京野菜を思い浮かべる人が多いかもしれない。だが、大阪も負けてはいない。

▼みずみずしさが売りの泉州水なす、全国一の生産量を誇るきくな(春菊)、日本で最初に生産されたと言われる玉ねぎもある。大都市圏で面積は狭く、それだけ人口密度も高い大阪だが、府の担当者によると、こうした特徴が農業発展の一助になったという。

▼例えば、狭い土地で作物を育てるには、効率を高める工夫が必要だ。そのため、年間を通して収穫することができる葉物野菜に力を注いだ。結果、春菊の生産量は日本有数の規模になった。また、農地が限られているので、なるべく単価の高い作物を育てたい。水なすの漬物は、夏のギフトの定番として知られている。

▼一大消費地である大都市圏に近いため、輸送にかかる時間とコストが抑えられるのはもちろん、完熟した果実を崩すことなく運ぶこともできる。その担当者は、初めて口にした完熟トマトと桃の美味しさに感激したという。インフレ基調の今だからこそ、伝えるべき価値をたくさん持つ強みが生きる。