ポッカサッポロフード&ビバレッジが発売する「アーモンド・ブリーズ」が好調だ。売上高は20年度(12期期)に前年比約1.6倍、21年度に約1.3倍を記録し連続成長を遂げた。
昨年は9月14日に放映されたTV番組「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)で需要が急増。以降、約4カ月間、需給調整しながら思うように供給できない状態が続いた。
取材に応じた小笠原千春レモン・プランツミルク事業本部プランツミルク事業部商品戦略グループグループリーダーは「供給が追いつかず大変ご迷惑をおかけし申し訳なく思っている。供給体制が整ったのは年明け後で、再発売後も引き続き高い水準で推移している。アーモンドミルク自体の認知が一段階上がった印象で、当社も実績を出せたことから各所で棚を広げていただけるようになった」と振り返る。
棚や導入店舗の拡大に加えて、若年女性層を中心に老若男女の幅広い層の新規ユーザーも増加傾向にある。
アイテム別では1Lタイプが絶好調で、昨年は2倍以上の伸びをみせた。中でも「砂糖不使用」の伸びが著しく、その要因については牛乳のように飲める点を挙げる。
同商品については「当社の中では一番差別化された商品。低カロリー設計で200ml当たり1日分のビタミンE配合しているほか、牛乳とほぼ同等量となる200ml当たり1食分のカルシウムが摂取できる。牛乳のようにゴクゴク飲めて、コーヒーなどに混ぜてもコーヒーの風味を邪魔しない点がおそらく家庭内で受け入れられている」との見方を示す。
今期は、店頭でのトライアル施策や食シーンでの提案に注力して勢いを加速させる。
「食シーンでの飲用をもっと増やしていく。例えばコーヒーと一緒に飲んでいただく企画としては“バリスタがおすすめするアーモンドミルク”といった趣旨のものを実施する。メニュー提案を通して家庭内での登場回数を確実に増やしていきたい」と意欲をのぞかせる。
カフェなどの外食店向けのコーヒーとの提案では、エスプレッソコーヒー向けに開発された業務用の「バリスタブレンド」を活用しオンライン・ラテアートバトル「#ABバリスタキングダム」を開催した。
同企画は「バリスタブレンド」を使いフォーミングの美しさを競うもので「バリスタ様から“フォーミングしやすい”とご評価をいただいており、『バリスタキングダム』などを通じてフォーミングのしやすさもしっかり訴求していく」と語る。
「砂糖不使用」は、毎日の生活の中で牛乳代替のヘルシーなミルクとして直接飲用が多いが、グラノーラやコーヒーにあわせる傾向もみられることから、秋以降に引き続きグラノーラとの提案を予定している。
前回は昨年9月下旬から今年2月にかけて、カルビーのグラノーラブランド「フルグラ」とコラボを実施。「砂糖不使用」と「オリジナル」の1Lタイプに「フルグラ」の試供品をベタ付けして販売した。
このような取り組みもあり汎用性も広がりをみせている。
「使用シーンも少しずつ拡大している。直接飲用やプロティンを混ぜて飲むといった飲用以外に、シリアルにかけるなどのシーンが家庭内へ徐々に浸透してきていると考えている。『フルグラ』企画は“非常にイメージしやすい”とご好評をいただいたことから秋以降も実施していく」との考えを明らかにする。
缶のドライ商品は自販機を中心に展開していく。
缶は、インドア自販機で特に男性層から嗜好的に飲まれている傾向を受けて、昨春に「アーモンド・ブリーズ やさしい甘さのアーモンドミルク ほんのり香るバニラ風味」に差し替えたが「ドライの中での提案としてニッチすぎた」と反省する。
「“おいしくヘルシー”といったニュアンスで楽しんでいただきたい」との考えから今春に再び「アーモンドミルクラテ」に差し替え自販機への導入拡大を進めている。
ペットボトル(PET)は「アーモンド・ブリーズ」の冠を外し新たに立ち上げた「PlantChoice」シリーズから「アーモンドミルクコーヒー」(500mlPET)を新発売する。
同商品は、“自分がいいと思ったものを生活に取り入れたい”と思っているミレニアル世代や年齢に伴い健康を意識し出した30~50代男女をメインターゲットに、1日分のビタミンEを補給でき乳製品不使用・コレステロールゼロのアーモンドミルクコーヒーに仕立てられている。
「これまでPET商品ではアーモンドミルクの白い液色を前面に押し出して甘い白物飲料の代替として訴求していたが、コーヒーや紅茶に混ぜて楽しんでいただくほうがドライ商品の世界には適している」との考えのもと編み出された。