日本アクセス 第8次中計「構造改革2024」 新たなサービスと価値創造を加速

日本アクセスは24年度を最終年度とする第8次中期経営計画「構造改革2024」をスタートさせた。コロナ禍の2年間、経営環境の激変に対応するべく経営改革を断行し、前期決算は過去最高の売上高、経常利益、当期利益を更新。「コロナ前の利益水準を超える成長軌道への回復が進んだ」(佐々木淳一社長)。新中計では、成長に向けた積極的な事業・ITインフラ投資と収益構造改革を加速。新たなサービスと価値の創造、競争優位の確立により、変化するニーズへの対応や社会的課題解決に貢献することで持続的な成長を実現し、断トツの食品総合卸企業を目指す。

同社の前期連結決算は売上高2兆1千203億円、経常利益239億円(33.7%増)、当期利益167億円(67.8%増)。収益認識に関する会計基準適用で約1千312億円の減少要因があったが、適用前の比較では実質4.9%の増収。売上高、経常利益、当期利益は過去最高を更新し、食品卸業界№1の業績を達成した。

こうした中で、今期からスタートした第8次中期経営計画(22―24年度)では「構造改革2024」~新たなサービスと価値の創造~をスローガンに、3つの経営基本方針として

①成長・競争優位の確立
②収益構造改革
③経営基盤改革

に取り組む。

成長・競争優位の確立では、既存領域の拡大とロジ事業の強化、拡大するEC事業の取り組みを強化。オールアクセスによる商品開発機能の強化、フルライン卸戦略の実行、チルドプラットフォームの構築を図り、コロナ禍で変化した市場環境に対応した新たなビジネスモデル創造を加速する。

商品開発では、マーケットインの発想で付加価値のあるオリジナル商品・留め型商品の開発を強化。組織体制も刷新し、マーケティング部、商品開発部、業務用管掌、営業部門が連携し、オールアクセスによる商品開発機能で小売業、生鮮デリカ・外食向けの展開を広げ、3年間で200億円の売上拡大を目指す。

フルライン卸戦略では、菓子・酒類・ノンフードの3カテゴリーで800億円の増収を計画。商品開発力の強化、グループ会社との連携強化(菓子)、酒類卸との協業も視野に入れたパートナーシップ戦略による全国供給体制の構築、海外・EC等新規販路開拓(酒類)、ドライと日雑の共同配送など、フルライン強化に向けて「第8次中計期間での総仕上げを目指す」(佐々木社長)。

強みであるチルド・低温事業では商物・情報が一体となったチルドプラットフォームの構築、一貫パレチゼーションによる物流課題解決に向けたフローズンマザー物流センターの全国配備を推進。チルドでは全国の幹線便機能と川上物流を含めた物流インフラ整備を進め、フロチルビジネスの拡大など包括的なサービスの提供により、19年度比1千億円の増収を計画。チルド分野の売上高を8千億円に引き上げる。

ECビジネスの拡大では、自社センターの倉出し機能を活用したドライ・チルド・フローズンのバラ・アソート品の出荷配送体制構築により、EC事業者やネットスーパー向けの取り組み拡大を推進。中計3か年で売上高200億円を目指す。

そのほか、物流体制の再整備では部門横断型の効率的な拠点整備を推進。2024年問題への対応や上昇する物流コスト抑制に向けた効率化施策と全体最適化を進める。

なお、最終24年度の定量計画は売上高2兆4千203億円(21年度比14.1%増、3千億円の増収)、経常利益249億円(同16.3%増、39億円増)、当期利益189億円(同16%増、26億円増)。3年間の投資額は物流IT投資360億円を含め、総額500億円を計画する。