植物性たん白 国内生産量・出荷量 21年も過去最高更新

大豆たん白の国内生産量(2012-2021)

植物性たん白の需要が拡大している。大豆たん白や小麦たん白は従来から幅広い加工食品用途で使われてきたが、昨今の大豆ミートをはじめとする植物性食品への関心の高まり、冷凍食品やチルド惣菜の需要拡大が追い風となっている。日本植物蛋白食品協会の統計では、コロナ禍による前年の需要増の反動減を最小限に抑え、21年も国内生産量、出荷・自社使用量ともに過去最高を更新した。植物性食品がトレンドとして注目される中で、国内生産体制の増強とともに健康とおいしさを追求した技術開発・品質向上、ユーザーと連携した商品開発、アプリケーションの広がりが成長を支えている。

21年(1-12月)の植物性たん白国内生産量は5万503t(前年比1%増)で、4年連続で過去最高を更新。コロナ禍で6%増と大きく伸長した20年度を上回り、初めて5万tの大台を突破した。

内訳は、大豆たん白4万4千725t(前年比1.2%増)、小麦たん白5千778t(0.3%減)。大豆系は粒状大豆たん白3万6千54t(前年並み)、粉末状〈分離〉8千244t(9.6%増)と堅調。大豆ミートやプロテイン需要の高まりが追い風となっている模様だ。

植物性たん白の輸入量も、21年は5万5千23t(前年比10.8%増)と大きく伸長。大豆系3万2千756t(13.1%増)、小麦たん白2万2千268t(7.6%増)。

21年の出荷・自社使用量は6万4千512t(4.6%増)。大豆たん白4万5千t(6.1%増)、小麦たん白1万9千512t(1.5%増)。こちらも過去最高を更新し、10年前に比べて消費量は約1万t増加。植物性たん白食品の需要拡大が進んでいる。

日本植物蛋白食品協会の大森達司会長(不二製油社長)は「健康志向やサステナブルなど、植物性食品への関心の高まりもあり、植物性たん白は時流に乗ってトレンドになっている」と需要拡大への期待を語った。

その一方で、業界全体の課題として「3年連続で原料価格が上昇しており、世界的な穀物価格の高騰、エネルギーコスト上昇への対応が課題となっている」と指摘した。

梨木宏副会長(日清オイリオグループ)は「植物性たん白は人々の健康に役立つ食材であり、中長期的には食糧不足の解決にも貢献できる。関連業界と連携して、よりおいしく健康的に食べてもらえる商品・アプリケーションの開発に努めるとともに、植物性たん白の価値を伝える広報活動にも力を入れていく」とした。

山口龍也副会長(昭和産業)は「コロナ禍の行動制限がようやく解除され、外食需要の回復が期待されている。国内人口が減少傾向にある中で、植物性たん白の需要は年々拡大している。健康やおいしさ、機能性、さらにはサステナブルな食品として植物性たん白の価値が注目されており、関連業界と連携してさらなる発展につなげていきたい」と語った。

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