エネルギー「人質」から転換を

食料もエネルギーも、持つ国にとっては「武器」であり、持たざる国にとっては「人質」となる。米国だってその原則で経済を動かしている。EUのSDGsは、ロシア、ウクライナに依存しているから、このままではゴールが遠のくのは間違いない。

▼黄金週間はエネルギー関連の勉強で時間を費やした。「天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学」は、バランスに豊んだ議論で情報も網羅され素晴らしい内容だった。

▼国内で代替エネルギー議論が本格化したのは1997年の京都議定書以降だったと思う。その頃はCO2排出削減に貢献するのに、化石燃料を化石燃料で代替することが味気なかったのか、天然ガスよりも太陽光だの風力だのコストの高い代替エネルギーに投資する企業が目立った。

▼18日開催の日本海水学会のシンポジウムでは、山口大学の比嘉先生が浸透圧発電の研究成果を発表した。海水と淡水間に存在する塩分濃度の差を発電に利用でき、水力、風力、火力より環境への負荷がなく効率的に電力を得られる。「人質」ばかりが目に付くわが国だけに実用化が期待される。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)