「王道」提案営業で消費喚起 加藤産業 加藤和弥社長

加藤産業の上期業績(今期から収益認識に関する会計基準を適用)は前年度と同基準で比較すると営業収益(売上高)は3.9%増、営業利益は7.2%増の増収増益。売上総利益率は6.63%で0.05ポイント改善、販管費は情報システムへの投資が増えているため増加したが、売上の伸長により売上比率は5.4%と前年並みに抑えられた。営業利益率も1.2%と0.04ポイント向上した。加藤和弥社長は会見で下期へ向けた取り組みや価格改定について次の通り語った。

【下期へ向け】

感染が拡大すると売上はプラスになり、昨年の10~12月のように収まると外食に流れ苦戦する。足元の状況も少し厳しいが、販促は徐々に元に戻りつつあるので、われわれが得意とする提案型営業ができるようになっている。現時点では物流業者からの値上げ要請も数字のインパクトがあるレベルでは起こっておらず、従来からの生産性向上の取り組みが効いて経費コントロールもできているので利益が出せた。

下期に入り世界の潮流を含め、日常を取り戻そうという空気感が強まるにしたがい、特に家庭用の売上は厳しさを増している。物流業者からの要請も徐々に強まり、今期中にはそれなりのインパクトのある数字が出るのではないだろうか。売上の鈍化と合わせ、生産性の低下も予想されるので、かなり厳しい状況になると覚悟しながら取り組まなければならない。

こうしたマイナス要因をカバーできるような一発逆転の方法もないので、従来から進めている提案型営業の推進や生産性向上による経費の抑制をよりスピーディに進めていくしかない。

【価格改定について】

価格改定も進んでいるが、為替の状況やロシアのウクライナ侵攻の影響を考えると、序の口と言わざるを得ない。後半に向け第2弾、第3弾の改定が出てくると思われる。こういう環境下なので、得意先の小売業も頭から否定することはない。

ただ、よく言われるように消費者に余力があるわけではないので、価格が上がることにより消費の減退が起こると考えられる。それをどうカバーしていくのか。一つは売場の活性化。提案型営業で価値を訴求するのが、われわれの王道である。それを得意先と一緒に進める。小売業自身のコストアップも出ている。仕入原価において、競争原理が働く場面が出る可能性も十分に考えられる。

われわれもコストが上がっているので、今までよりも安くするのが可能かと言えばそれは継続性がなくなってくる。それ以上に消費者に楽しんでもらい、豊かさを感じてもらえるような売場提案を続け、消費を喚起していきたい。