冷食にチャンスあり 漬物最大手が描く成長戦略 ピックルスコーポレーション

漬物最大手のピックルスコーポレーションは漬物や惣菜などの既存分野に加えて、新分野での商品展開を進めている。たれ・ドレッシング売場、納豆・豆腐売場、ふりかけ売場向けのほかに、今後は冷凍食品売場への進出を図る。好調に伸長し、売場が拡大する冷凍食品市場に向けて冷凍惣菜の提案を開始した。

同社の前2月期(連結)売上高は2.2%減の450億600万円、営業利益は8.5%増の29億4千200万円となり、減収増益で着地した。巣ごもり需要の反動減で減収となった一方、利益面は原料野菜の価格安定やアイテム集約による生産効率化などにより増益となった。

品目別では、浅漬・キムチが5.5%減の188億5千800万円、惣菜が10.8%増の102億6千400万円、古漬が36.7%減の5億800万円、仕入れ商品(漬物、調味料、その他)が3.9%減の153億7千400万円となった。

漬物市場は食生活の変化やコメ需要の減退を受けてピーク以降長らく漸減傾向だが、近年はキムチの好調もあり下げ止まりが見られる。その中で、同社は健康志向、惣菜化、機能性などのニーズに応えるべく商品開発を進めている。ただ、同市場は成熟しており、漬物では大幅な売上アップが見込めない状況だ。

同社はいま漬物、惣菜以外の売場向けにも商品を開発している。子会社のフードレーベルと力を合わせて、色々な売場に展開できるように商品開発の幅を広げている。今後特に力を入れたいのが、いま市場が伸びている冷凍食品で、すでに提案を開始している。

同社は冷食市場について昨今の食品ロスの問題も絡み、今後大いに拡大する可能性があると見ている。昨今はスーパー、コンビニが新店舗で冷凍食品の売場スペースを広げており、この広がる売場に対して冷凍惣菜を提案していく。

先日の決算説明会で宮本雅弘社長は「レンジアップのおつまみ商材などを提案する。手間のかかる冷凍食品はなかなか大手メーカーが手掛けない。そこにチャンスがある」と述べた。

当面は既存の冷凍食品メーカーと共同開発を行い、施設を借りて商品を製造する。また、フードレーベルが以前アイスクリーム販売をしていたこともあり、冷凍庫と冷凍配送網を保有。これを活用して全国展開する。一定の販売ボリュームが形成されたところで、冷凍食品の自社工場建設を検討する。