山本海苔店は、海苔の新たな食べ方の提案活動を強化している。洋食やおつまみといった既成概念にとらわれない発想で、消費者に「海苔を使ってみたくなる」場面をイメージしてもらい、需要の底上げを図る戦略だ。
伊勢丹新宿店で4月下旬、佐賀県が3日間開催したイベント「出張SAGA BAR in 伊勢丹新宿店」で、同県の地酒2種類と有明海産の焼海苔、細長い形状で食べやすい「おつまみ海苔」を提供する飲み比べセットを振る舞った。焼海苔は提供する直前に温め、来店者にパリパリした食感と焼き立ての味わいを体感してもらった。
同社は近年、海苔は「手軽かつヘルシーに食べられるおつまみ」という切り口で、晩酌のお供に海苔を味わってもらう「海苔飲み」を提唱。日本酒やビール、ワインなどアルコール類と海苔の相性の良さを訴求している。
山本哲也執行役員は「消費者が海苔を使ってみようと思える具体的なシーンを提案したい」と狙いを語る。
若年層に照準を定めた施策としては、ホットサンド専門店「ホットサンドラボ・ミリ」とコラボし、1月から販売している「日本橋室町サンド」が好評だ。特製海苔佃煮「むろまち」を塗ったパンに、だし巻き卵とチーズを挟み新海苔で包んで仕上げた。2、3月は販売店舗が休業したものの、これまでに250食以上を売上、パン食に海苔を取り入れてもらう試みを展開している。
公式インスタグラムでは、弁当やピクニックに最適な「海苔香るツナサンド」をはじめ、ボジョレーヌーヴォー解禁日に合わせた「海苔入りツイストパイ」など約230のオリジナルレシピを公開。日常生活の中での海苔の楽しみ方を分かりやすく情報発信し、消費マインドの喚起に努めている。