即席麺、コロナ禍で環境変化 高付加価値商品で攻勢

「22年は付加価値型製品を充実させていく」(日清食品)、「消費者のニーズが多様化し、よりこだわった高品質商品と、コンパクトな商品という新しいニーズが高まってきている」(東洋水産)。コロナ禍で外食の代替需要に対応した高付加価値商品の需要が高まるなか、即席麺業界でもこうした需要に対応した商品の投入が相次いでいる。

「今までの袋麺とは違う『新・袋麺』」。東洋水産は4月4日から、3食タイプの即席袋麺新ブランド「マルちゃん ZUBAAAN!」を全国で新発売した。各税別390円という高価格帯商品だが、大手コンビニでも採用されるなど注目度は高い。「具材をトッピングすれば300円以下でお店の味が再現できる」(同社)というように、コロナ禍の巣ごもり需要で市場が拡大した即席袋麺に、旬なトレンドをとらえたフレーバー。麺、スープともに「お店品質」と胸を張る新ブランドを投入することで、即席袋麺で新ジャンルの確立を目指す狙い。

「マルちゃん ZUBAAAN!」(東洋水産)㊧/「日清ドロラ王 ドロ、コッテリ、鶏白湯」(日清食品)㊨ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「マルちゃん ZUBAAAN!」(東洋水産)㊧/「日清ドロラ王 ドロ、コッテリ、鶏白湯」(日清食品)㊨

日清食品は4月25日、「日清ドロラ王 ドロ、コッテリ、鶏白湯」を新発売した。鶏白湯の特長の一つであるスープのドロっとした質感にとことんこだわった。「日清ラ王」史上最高レベルにドロドロしたコッテリ鶏白湯スープが、モチモチした食感の麺や具材の鶏チャーシューに絡みつく“ドロ、コッテリ”な一杯は、税別368円という超高価格帯商品だ。

名店「ぶぶか油そば」の特徴である「極太麺」をさらに進化させ、最強の噛みごたえを実現した特別版として、明星食品が5月9日に発売するのが「ぶぶか油そば ガチ太」。税別255円。カップ麺の常識を破る湯戻し7分で仕上げた「明星史上最極太麺」(麺の厚さ25%アップ)と、新開発の極太メンマ(メンマの厚さ2.8倍)で「最強な噛みごたえ」が楽しめる商品に仕上げた。

「ぶぶか油そば ガチ太」(明星食品)㊧/「(コンビニ限定)スーパーカップ大盛り いか焼そば」(エースコック)㊨ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ぶぶか油そば ガチ太」(明星食品)㊧/「(コンビニ限定)スーパーカップ大盛り いか焼そば」(エースコック)㊨

エースコックは4月25日、「(コンビニ限定)スーパーカップ大盛り いか焼そば」を発売した。2019年に惜しまれながら終売したが、ファンの熱い想いに応え昨年4月、コンビニ限定商品として復活した「いか焼そば」がさらにおいしくなって今年も登場。税別240円。

コロナ禍で巣ごもりが続くなか、定番ご当地に加え、「ソウルフード」やエリアで支持の高いラーメン店に注目が集まっている。

こうした環境に対応した象徴的な商品が、サンヨー食品の「元祖ニュータンタンメン本舗監修 タンタンメン」。同店の地元である神奈川県を中心に高い支持を得て好調に推移している。「純連」「桂花」「天下一品」といった「名店の味」シリーズも「取り扱いが増えている」(同社)と高評価。

コロナ禍で巣ごもりが続くなか、定番ご当地に加え、“ソウルフード”やエリアで支持の高いラーメン店に注目が集まっている - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
コロナ禍で巣ごもりが続くなか、定番ご当地に加え、“ソウルフード”やエリアで支持の高いラーメン店に注目が集まっている

ご当地シリーズ(23品)を中心に全28品を展開しているヤマダイの「凄麺」ブランドも、外食代替需要の取り込み、ご当地商品ニーズの高まりなどにより新規ユーザーの開拓、休眠ユーザーの掘り起こしが進み、売上を伸長させているという。

即席麺業界では6月1日から価格改定が実施(一部メーカー除く)される。過去の価格改定時同様、価格コンシャス商品への需要シフト、定番商品の買い控えも予想されるが、各社高付加価値タイプの商品ラインアップを厚くすることで、トータルの商品構成による収益確保を目指す。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)