食料安保へ議論を

山崎製パンは7月1日出荷分から、食パンや一部菓子パンについて出荷価格を平均7.1%引上げる。同社は今年1月、一部の食パン、菓子パンの出荷価格を平均で7.3%引上げたばかり。前回の値上げからわずか7か月での再値上げという異例の事態。

▼同社では値上げの理由について、4月から輸入小麦の政府売渡し価格が17.3%引上げられたこと、原材料価格の高騰、エネルギーコストや物流費の上昇などを挙げる。実際、輸入小麦の政府売渡し価格は昨年10月に19%引上げられているため、それ以前と比べ4割程度上昇している形だ。

▼岸田総理は4月26日、現状を踏まえた経済財政運営を発表。この中で原油価格高騰への対応などとともに9月までの間、小麦の政府販売価格を急騰前の水準に据え置くと明言。あわせて国産米、米粉、国産小麦への切り替えを支援すると発表したが、米粉にしても、国産小麦への切り替えにしても簡単な話ではない。

▼ロシアによるウクライナ進攻を受け安全保障の議論が盛んだが、それ以上に国内自給率向上、食料安保の議論が急務だ。