全国小麦粉実需者団体協議会(飯島延浩会長)は8日、都内で農水省幹部との懇談会を開催した。懇談会では、農水省が4月期の麦価改定の詳細と調達環境悪化の対策方針などを説明。10月期の麦価の見通しについては「現時点で見定めるのは難しい」と明言を避けた。価格転嫁の円滑化など取引の適正化については、現在6千500社を超える企業が登録する「パートナーシップ構築宣言」の内容についても紹介した。
協議会からは「いまだに外食産業が復調していない」「PBの値上げ交渉が難しい」といった実情報告や、「外麦の価格が引き上げられると内麦も上がるルールだが、内麦の引き上げについて政府の補助は得られないか」などの要望が寄せられた。
農水省の水野政義総括審議官は「メーカーと小売業者との間で交渉し、(原材料などの値上げ分を)製品価格に転嫁させるために、昨年末には食品事業者と小売業者に向けた適正取引推進ガイドラインを発出した。政府としてもパートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージの方針を発表している。最終製品の価格転嫁が徐々に進んでいると思うが、そうでない状況もあるようなので実態を把握したい。また消費者が値上げに応じるよう導くことも重要だ。魅力的と思われるような高付加価値製品の開発が一層求められている」と具体策を投げかけた。
協議会の飯島会長は「農水省の皆さまには昨年の2回の意見交換で、当業界の実情や悩みをご理解いただけたと思う。コロナ禍での業務継続、市場変化への対応のほかに、小麦粉をはじめとした原材料、燃料価格のさらなる高騰に迫られている。業界としてはパン、麺、菓子などを国民に安定供給する責務がある。自らの努力だけではいかんともしがたいため、農水省とは意見交換を密にしながら、より一層の支援を賜りたい」と呼びかけた。