ライフコーポレーション 同質競争脱却、次世代型スーパーにチャレンジ 岩崎高治社長語る

原材料価格や資材、エネルギー、物流など各種コスト増、さらには為替の円安などを受け、加工食品業界では値上げが相次いでいる。製配販三層の企業努力でコスト増を吸収することは困難な状況となる一方、生活防衛意識の高まりも背景に、業態間を含めた競争は激化の様相だ。

ライフコーポレーションの岩崎高治社長は決算会見で、今期の方針について語った。

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2022年度の一番大きなテーマは「同質競争からの脱却」だ。具体的には「独自商品の開発強化」「新店・改装店への積極投資」「ネットスーパーの拡充」「カード事業の推進」「デジタル技術の活用」の5つに取り組んでいる。

一つ目はPBの強化だ。ライフにしかない商品というところを強化することにより、同質競争から脱却する。「オーガニック」「ローカル」「ヘルシー」「サステナビリティ」をコンセプトとする「BIO―RAL(ビオラル)」は前年比160・3%(29億円)。その一方で、リーズナブルな価格での提供も必要。「スマイルライフ」「スターセレクト」についても、引き続き強化していく。プロセスセンターを活用した、当社にしかできない商品を強化することで差別化を図る。

新店・改装だが、2021年度にオープンした8店は非常に好調だ。改装32店も、ほぼ計画通り。大型投資(1店当たり3~4億円)だったが、お客様から非常に好評を得ている。昨年度は、かなり負荷がかかったが、今期以降への種まきはできたと考えている。

ネットスーパーは、規模としては他社と比べまだまだだが、中身としてはお客様から高く評価されているかなと思っている。アマゾンとのネットスーパーについては、展開エリアを順次拡大した。その結果、21年度のネットスーパー売上高は96億円となった。22年度は200億円、30年度までには1千億円を目指す。

カード事業も昨年度は相当力を入れた。新規顧客、「LCカード」の利用率も上げることができた。「LCカード」と電子マネー機能付き会員カード「LaCuCa」を合わせると約500万人の会員がいる。デジタル技術の活用は、One to Oneマーケティング、実際にお客様の購買データを分析し、一人ひとりに合わせたクーポン、お得情報を提供するということをすでに始めている。

カードPOSの実験、現在、日配で導入しているAI自動発注の対象カテゴリー、電子棚札の導入を拡大している。これらをすべて盛り込み出店するのが15日にオープンする「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」(東京都)だ。

これまでスーパーマーケットは、よい店、よい品、よいサービスと言われていたと思う。よい立地に、よい店を作り、よい商品を並べ、よいサービスをしていれば絶対に滅びることはないということでやってきたが、(現在は)それがあるのは当たり前で、そこにプラスしてデータの活用とテクノロジーがないと、これからのスーパーマーケットは生き残っていけないだろう。その考えを具現化した「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」は、「セントラルスクエア」「ビオラル」2業態複合のリアル店舗とネット店舗を融合した日本で初めての次世代型スーパーマーケットだ。

「日々のお買い物を、便利から楽しいへ」というコンセプトのもと、リアル店舗、ネットスーパー、プラス「BIO-RAL」。垣根を越えてシームレスにつながる新しい形のスーパーマーケット、それをデータの活用とテクノロジーを使い、お客様がいつでも、どこでも、自分自身の買い物で、一番買い物したいパターンで買い物ができる、という環境を整えたい。

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