国分グループ本社 地域ビジネスモデル確立 共創圏パートナーと協働進める 22年度方針

国分グループ本社は5日、都内ホテルで取引先メーカーを招き、2022年度方針説明会を開催した。出席メーカー数は167社。
国分グループ本社 共創圏構築、新たな食の価値創造へ メーカー招き方針説明
冒頭、國分晃社長が昨年度からスタートした第11次長期経営計画の概要を説明。「顧客満足度№1」「共創圏の構築・拡大」「コト売り比率経常利益30~50%」「仕事における幸福度の向上」の4つの価値創造目標を新たに掲げ、「第11次長計初年度となった前期は増収大幅増益で着地し、09年以来、12年ぶりに過去最高益を更新した。これらは16年からの卸基盤再構築プロジェクトを経て、グループの体制・体質を大きく変え、ビジネストランスフォーメーションを果たすことができた」と報告した。

その上で、22年度のグループ経営方針では

①共創圏パートナーとの価値創造活動の加速
②顧客満足度№1
③新シンプル業務KPIを基準としたバランスの取れた経営改善
④ウイズコロナの働き方の確立
⑤地域ビジネスモデルの確立

――の5点を挙げ、それぞれの取り組みを紹介した。

共創圏の構築・拡大では、2025年までに売上高+1兆円、取り組み件数+100件の目標に対して、昨年は共創圏パートナーとして資本・業務提携を行った企業の売上高は合計2千200億円に達し、新たに73件の取り組みを開始。今後も共創圏パートナーとの価値創造活動やイノベーションを加速し、コト売りによる役務収益の増額を目指す。

7年目を迎えた顧客満足度調査では「調査結果を起点とするPDCAが定着してきた。顧客満足度№1に向けた活動が新たなイノベーションのブレークスルーにつながる」とした。

また、新たに設定したシンプル業務KPIを基準とする業務改革を進め、各カンパニーの人的リソース配分を機動的に実行するほか、「ウイズコロナの働き方の確立」「仕事における幸福度向上」の方針を踏まえ、グループ人事制度をさらに進化させるとした。

「地域ビジネスモデルの確立」では「人口集積地での収益が伸びる一方で、エリアでは厳しさが増している」現状を指摘したうえで、エリアカンパニー・カテゴリーカンパニーの競争力を高め、「地域食経済を担う業界リーダーを目指し、共創圏パートナーとも連携して積極的に地域経済の活性化と地域が抱える課題解決への取り組みを推進していく」と語った。

また、國分晃社長は直近の重要課題として「国際情勢不安や原材料不足、物流コストの上昇、円安による価格引き上げが相次いでいる。生活者は極力安いものを求める流れが根強いが、適正価格の実現に向けた売価引き上げは、食品業界として重要なテーマ」と強調。

22年は5年に一度の「酒類の公正な取引に関する基準」改定が控えており、内外の情勢や法改正を踏まえ、「メーカーと十分に連携を図り、適切に対処していく」とした。

杉野直起取締役常務執行役員営業戦略統括部長は「適正な商売を実現するため、真摯に価格改定の取り組みに尽力する。そのためには適正な小売価格の実現が必要であり、メーカーと一丸となって進めていかなければならない」としたうえで、「卸の流通コストの負担増についてもご理解をいただき、相応の改善に協力をいただきたい」と呼び掛けた。

広域流通の現場では多くが本部商談で決めた一括価格で運用されているが、「過疎化が進んだエリアでは、一括での価格とサービスを展開するのが難しいケースもあり、卸がクッション役を担っている。顕在化した課題を共有し、より効率的な解決策を見いだし、持続可能な取引の実現をともに描いていきたい」とも語った。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)