惣菜盛付ロボを実用化 作業者シフト、量子コンピューターで計算

日本惣菜協会は3月29日、業界初となる惣菜盛り付け工程へのロボット導入と量子コンピューターによる惣菜作業者のシフト計算の実用化に成功したと発表した。同協会は経済産業省が進める「令和3年度革新的ロボット研究開発基盤構築事業」に事業の代表として採択されており、「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」でユーザー7社とベンダー8社とともに、ロボットフレンドリーな環境構築や、ロボット、AI、量子コンピューターの現場導入を推進してきた。経産省では産業向けロボットの研究開発関連の事業に22年度は9.5億円の予算を組んでおり、24年度までに中小の惣菜業まで実装できるようにする。

惣菜製造工場では「盛り付け工程」に最も多くの人手が必要となる。同工程の自動化は喫緊の課題とされていながらも現在まで実現していない。

盛付工程自動化のデモ(日本惣菜協会)
盛付工程自動化のデモ(日本惣菜協会)

プロジェクトのメンバーであるFAプロダクツ、オフィスエフエイ・コム、コネクテッドロボティクス、日本サポートシステムが手掛ける惣菜盛り付けロボットは、マックスバリュ東海長泉工場に導入。アールティーが製造するヒト型で移動の容易な惣菜盛り付けロボット「Foodly」はイチビキ第2工場、ヒライ熊本工場、藤本食品岐阜工場に、グルーヴノーツの量子コンピューター技術によるシフト計算のシステムはグルメデリカ、デリカスイト、ニッセーデリカ、ヒライ、マックスバリュ東海で実運用を開始した。

3月29日に開かれた記者会見で経産省ロボット政策室の福澤秀典氏は今後の施策について「惣菜商品の仕様見直し」「廉価な盛り付けロボットシステムの開発」「廉価かつ脱着しやすいハンドの開発」「番重・容器のロボフレ化」などを例に挙げ、近々のブラッシュアップについても方向性を示した。

経産省ロボット政策室長の大星光弘氏は「食品分野でのロボット導入は、人手不足の解消と専門性の向上につながる。経産省も事業者の取り組みに貢献したいと思う」とコメント。

平井浩一郎社長(ヒライ)
平井浩一郎社長(ヒライ)

マックスバリュ東海執行役員の遠藤真由美氏は「当社の工場は狭小で多品種少量生産型。先駆的な役割を担えるか不安だった。当社もほかの惣菜製造業と同じ課題を抱えている。当社が行おうとしていることは業界の目指す姿と同じだった」と事業参画について説明した。さらに「単純作業をロボット化することにより、女性を中心とした従業員にも判断業務や価値のある仕事をしてもらいたい。現在、ロボット3機を導入しているが試行錯誤の段階。最終的にロボット4機で1時間に1千パックを仕様書通りに検査なく盛り付けることを目標に、達成に向け全力で進める」と意欲をみせた。

日本惣菜協会会長でヒライ社長の平井浩一郎氏は「惣菜製造業は人手不足が深刻。藁をもすがる思いで経産省の力をお借りした。市場は10兆円を超える規模だが、1社当たりの事業規模は小さい。作る量も少ないので装置もさらなる改良が必要になるだろう。小さな事業者にも参考になるため参画したが、人手不足対策の一助になればうれしい」と意義を述べた。