日本植物油協会と油糧輸出入協議会は先月、マレーシア政府関係者とオンラインで「日馬パーム油情報交換会」を開催した。世界的に油脂需要が高まる中で、パーム油の需給動向やマレーシアの生産状況や品質、サステナブル認証の取り組みなどについて情報交換した。
日馬マレーシア情報交換会は今回が初めての開催。マレーシア側はパーム油庁長官ら関係者が参加。冒頭、マレーシア政府パーム油認証審議会(MPOCC)のモハマドハフェズアブドゥルラーマンCEOは「サステナビリティ課題や認証パーム油の取り組みなど、情報交換会をプラットフォームに今後さらに両国の協力関係を強化していきたい」とあいさつした。
日本側代表として水野政義・農林水産省総括審議官(新事業・食品産業)は「パーム油は菓子や食品、日用品の原材料として欠かせないものである。昨今、世界的に油脂の価格高騰や需給が懸念される中で、最大供給国であるマレーシアとの安定供給に強く期待している」と語った。
会議では、21年のマレーシア産パーム油の生産・輸出状況や品質、マレーシア政府が取り組んでいる持続可能なパーム油の認証制度(MSPO)、日本における植物油の消費動向などについて、両国で情報交換を深めた。
21年のマレーシア・パーム油の生産量は1千812万t(前年比5.3%減)、輸出量は1千557万t(10.5%減)。課題とされるコロナ禍の労働力不足についてマレーシア政府は外国人労働者3万2千人の採用を承認するなど対策を講じているほか、長期的措置として自動化技術の確立に取り組んでいることを報告した。
その上で、22年の見通しは、生産量1千900万t(4.4%増)、輸出量1千700万t(9.2%増)と予測。期末在庫も195万t(21.1%増)に回復を見込んでいるが、世界的な油脂需要の強さやウクライナ情勢の影響もあり、価格の上昇圧力が強いとした。
マレーシア・パーム油庁のアーマッド長官は「より安定したレジリエントなパーム油のサプライチェーン確保に向けて、マレーシア政府はサステナビリティや認証パーム油などの課題に取り組んでいる。会議を通じて、日本とマレーシア両国のネットワークが発展していくことを期待している」と述べた。
日本植物油協会と油糧輸出入協議会では米国やカナダなど、油糧種子生産国と長年にわたるパートナーシップ構築に取り組んできた。世界的に油脂需給ひっ迫への懸念が強まる中で、2月にはオーストラリアと日豪菜種情報交換会を開催。今回の日馬パーム油情報交換会も含め、油糧種子の安定供給確保や品質向上、持続可能性や環境対応など生産国との取り組みを強化している。