食品ECは「超拡大前夜」 西友とビッグチャンスつかむ 楽天グループ 三木谷浩史会長兼社長

「2020年の日本の食品・飲料・酒類のEC化率は約3.3%、物販系分野のEC化率も8.1%。これに対し、世界の物販系分野のEC化率は17.9%。日本は世界と比べかなり遅れているが、昨今、食品のEC化は超拡大ステージに入りつつある」。コロナ禍のなか、巣ごもり消費により食品分野でもEC化率が急速に高まっている。西友との戦略的提携を強化する楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が、提携強化の狙いと今後の食品EC分野の展望について語った。

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楽天は2018年1月、ウォルマートと戦略的提携を発表した。同年4月には「楽天西友ネットスーパー」を設立し、10月には「楽天西友ネットスーパー」がグランドオープンした。2021年3月に楽天が西友に20%出資し、資本提携を進めた。同年9月には「楽天西友ネットスーパーアプリ」をリリースしている。楽天西友ネットスーパーは他社(のネットスーパー)と違い、店舗からの配送(店舗在庫型)と物流センターからの配送(センター在庫型)というハイブリッドモデルで展開している。物流センターからの配送が、さらなる成長を牽引しているものと考えている。物流センターでは、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯で最大3~4万アイテムを保管。搬送や保管などが自動化できる最先端の装備を導入している。

西友とOMO戦略を本格展開しようと協業体制を構築したが、4月1日から楽天カードとしてはスーパーマーケットで初めての提携となるクレジットカード機能付きオリジナルデザインカード「楽天カード 西友デザイン」を発行する。これにより同カードに付帯する電子マネー「楽天Edy」も「西友」などの全店舗で利用が可能になる。「楽天ポイントカード」の活用も加え、楽天ネットシステムを西友の店舗と融合していく。単純に支払いが便利になるということだけでなく、それをベースにしたデータ収集・分析により、お客様にさらに快適なショッピングをしていただこうという考えだ。

4月26日から新しい「楽天西友アプリ」をリリースする予定だ。今までのネットスーパーのアプリと「楽天ペイ」(アプリ決済)のポイントペイを融合させたアプリを提案させていただく。IDで統合されたオフライン、オンラインのマーケティングが可能になる。楽天グループはこれまでもビッグデータを使ったさまざまなサービスを提供している。お客様のさまざまなデータをカスタマーDNAという形でストレージし、より効率的なマーケティングをしてきたが、いよいよオフラインの場面でも実践する。楽天のシステム、楽天ポイントを活用し新しいお客様をどんどん取り込んでいくとともに、既存のお客様のさらなる利便性向上も実現していきたい。

コロナ禍以降、デジタル化は加速している。世界はもっと先に行っているが、日本も急速にデジタル化が進んできた。人口減という非常に厳しい環境のなか、スーパーマーケットは本当に大きな転換期を迎えている。この転換期をより大きなビジネスチャンスとし、西友とともに世界に冠たるOMOプラットフォームを作る。このプラットフォームは西友から開始し、全国の中小スーパーマーケットでも使えるようにしていきたい。