ゴーストレストラン参入のローソン 「スンドゥブ専門店」など多ブランド化推進 25年度1千店目指す

ローソンは「ゴーストレストラン」への本格参入を図る。すでに21年11月から都内「飯田橋三丁目店」で実験に着手。利用動向の分析や事業の将来性を探ってきたが、コロナを契機とした生活様式の変化や、国内におけるフードデリバリー市場の伸びしろなどを勘案。約8千店で店内厨房を持つ強みと、19年8月以来展開してきたデリバリーサービスの実績を背景にコンビニが手掛ける新たな取り組みとして、事業モデルの構築を目指す。

ゴーストレストランは看板を冠した実店舗を持たず、デリバリーによる販売が中心。そのため1店舗(製造拠点)が複数ブランドを同時展開し、ユーザーのニーズやシーンに応じた幅広いメニュー提供を実現する。

「ローソン」店舗においても、通常のコンビニ運営・店内調理商材の販売とは別に、ウーバーイーツのアプリ上に開業した飲食店のメニューを製造。ネット注文に応じて配達する仕組み。

「飯田橋三丁目店」では、「NY飯!チキンオーバーライス」の店名で営業を開始。チキンをメーンに据えたフードメニューに加え、コンビニの品ぞろえを生かした揚げ物や飲料、アルコール類、日用品など約50品目を注文対象としている。主食メニューは1食分がキット化され、3~5分で完成する設計だ。

同店では今年1月から、「ローソン」の人気メニューを独立させ、「マチの揚げもの屋さん」と「まちかど厨房できたて!」の2ブランドを追加出店。多ブランド化に向けての検証も開始した。現状、平均客単価は約2千円。

展開ブランドに関しては3月25日に「スンドゥブ専門店『ピギョル』」を立ち上げ、さらに4月にも「麻婆丼」や「ルーローハン」などを主軸メニューにした新ブランド2店を開業予定。23年には20ブランドまで広げたい考えだ。1ブランド当たりの売上目標は3~10万円。取り扱いメニューは6品程度とする。

また、3月29日から「江北六丁目店」(東京都足立区)、「小石川一丁目店」(同 文京区)、「舞浜店」(千葉県浦安市)にも実験を拡大。以降、22年8月末に1都3県で20店、23年2月末には関東圏で100店規模まで実施店を拡大。25年度には関東圏以外も含めて1千店規模への業容拡大を図っていく。導入店の拡大に伴いバッティングも想定されるが、多ブランド展開で店ごとに製造するブランドの組み合わせを変えることで共存を図る。

フードデリバリー市場は年々成長を続けてきたが、コロナ禍を契機に一気に加速。20年は前年比約1.5倍に伸長。21年はそこからさらに26%伸ばし、市場規模は約8千億円。19年比では倍増している。今後についても「海外の出前シェアの状況を見ると、国内はまだ伸びしろがある。当社の見立てでは2兆円規模まで成長が見込まれる」(事業開発部・吉田泰治部長)として今回、本格展開を決めた。