伊藤忠食品はこのほど、イトーヨーカ堂と共同で商業高校生への教育支援を実施した。
昨年11月にオンライン開催した「第8回商業高校フードグランプリ」をきっかけに取り組みが実現したもの。2月4日に同グランプリでイトーヨーカ堂賞を受賞した愛知県立南陽高校の生徒37人に向けて「イトーヨーカ堂特別オンライン授業」を開催。当日はグランプリで特別審査員を務めたイトーヨーカ堂グロサリー部の岩田邦彦シニアマネージャーと調味料担当の菅原マーチャンダイザーが講師を務めた。
生徒からは「どのような基準で商品を仕入れているのか」「売りたい商品を売れるようにするには」「仕事のやりがいは」など多岐にわたる質問が寄せられ、講師の二人がこれまで携わってきた売場づくりや商品開発など具体的な例を挙げながら丁寧に説明した。
グランプリ特別審査員の岩田氏は、南陽高校の「うま辛ドレッシング」をイトーヨーカ堂賞に選出した理由として「食卓出現頻度の高いドレッシングでマトリクスのブランクをついていること」「パッケージに着目していたこと」「売場に並ぶところをイメージしていたこと」を挙げ、「商品開発のレベルに驚かされた」と評価。その上で最終消費者であるお客様と接する小売業の視点も交え、商品づくりやマーチャンダイジングのポイントなどをアドバイス。特別授業の最後には岩田氏が「サラリーマンについて」というタイトルで社会人としての心得を伝え、これからの未来を担う高校生たちにエールを送った。
南陽高校の柘植教諭は「生徒たちはみな真剣な表情で聞き入っていた」と語り、生徒たちからは「(特別授業を通じて)調べるだけでは分からないイトーヨーカ堂の話を聞くことができ、仕事や考え方を知ることができた」「ドレッシングの並べ方など店舗に行って確認してみたい」などの感想が寄せられたという。
また、2月23日から28日には全国のイトーヨーカドー各店で実施された「初登場フェア」において、同グランプリの受賞製品を店頭販売。出場校の生徒やシズル写真をチラシに掲載したほか、店頭での商品POP、「うま辛ドレッシング」を使用したレシピリーフレット設置、店頭サイネージで南陽高校生による15秒CM動画や同グランプリの紹介動画を放映するなど、売場での販促施策を強化した。イトーヨーカ堂賞を受賞した「うま辛ドレッシング」は重点的な展開によって、販売開始からチラシ期間終了までで累計6千本の販売を達成した。
伊藤忠食品では、商業高校(商業科目を有する高校)の学習指導要領に「商品開発」が新設されたことを機に、本業を生かしたCSR・CSV活動の一環として、食に関わる人材育成の観点から商業高校の教育支援を行っている。「商業高校フードグランプリ」は地域の特産品を使ってメーカーと共同開発した食品の№1を決定するコンテストで、商品の出品を通じて継続的に流通・販売可能な商品の条件や課題を学ぶことで商品の改良や開発に生かし、地域食文化の活性化に寄与することを趣旨として13年度から継続開催している。