久世、国分と資本業務提携 業務用の難局打開へ協業

久世と国分グループ本社は18日、資本業務提携を締結した。国分グループ本社は、久世が実施する第三者割当増資を引き受け、普通株式19.99%を取得し筆頭株主となる。取得額は7億円。久世は財務基盤の安定化を図るとともに、両社で物流・調達・情報プラットフォームなどリソースを相互活用し、企業価値向上を目指す。

首都圏を地盤とする久世は、新型コロナウイルスの感染拡大で主力の業務用卸事業が打撃を受けている。この2年間、損益分岐点の引き下げやテイクアウト・デリバリーなどコロナの影響を受けにくい新規顧客の開拓、物流受託事業など新分野の取り組みを強化し、収益改善の効果が出てきているものの、今期も3期連続の最終赤字となる見通し。

コロナ前の29.5%(20年3月期末)だった久世の自己資本比率は直近、22年3月期第3四半期末には12.9%に低下。コロナ禍が長期化する中で、財務基盤の強化が課題となっていた。

両社は商品の仕入れなどで数十年にわたる取引があり、その過程で役員間の面識もあった。業務用市場が厳しい環境にある中で、21年から提携協議を開始。ともに創業家出身者が代表を務めるオーナー経営で、長期的視点に立って経営を進める理念や価値観が合致していること、経営資源の相互活用による企業価値向上、資本増強による財務基盤の安定化に向けて資本業務提携に至った。

業務提携の内容は、久世が保有する国内業務用卸に関する機能・ノウハウや、国分グループの物流・販売網などの経営資源を相互に活用し、中長期的なビジョンを共有しながら業界発展に貢献すると同時に、「両社グループの独自性や強みをさらに成長させることで企業価値向上を図っていく」とした。

具体的な取り組みでは、物流・情報システム・商品調達・共通情報プラットフォーム・人材育成の各分野で、両社でシナジー創出を目指す。

また、久世は来期から国分グループが指名する社外取締役を迎える予定。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)