福島県沖地震 量販店、一部被災も軽微

16日深夜、福島県沖を震源とするマグニチュード7・4規模の地震が発生。東北新幹線が脱線し3月中は不通となったように、交通網への影響が懸念されている。食品業界では11年前の東日本大震災時と異なり、津波による被害がなかったことから被害はおおむね軽微で、大きな混乱は出ていない。

小売業界では、イオンは17日12時時点の情報として、福島県、宮城県の9店舗で17日の営業を休止(一部休止含む)。これはスプリンクラー破損などの影響を受けたことによるもの。このほかの店舗でも、店頭で食品の販売(6店)、食品売場のみの営業、専門店部分など一部休業といった影響が出ている。

ヨークベニマルは、福島県、宮城県の各6店、合計12店を臨時休業とし、現在、営業再開に向けた復旧活動を行っているところ。山形県を拠点とするヤマザワは、仙台市の1店舗で店舗被害が発生したため臨時休業としたが、そのほかの店舗は通常営業。青森県を地盤とするユニバースは全店で通常営業中。

コンビニエンスストアでは、停電の影響や商品の落下などを受けての店内復旧のために一時的に休業するケースが見られたものの、いずれも順次営業を再開。ベンダー・メーカーの製造工場なども特段の被害はなく、道路混雑などで一部遅れが見られた物流も正常化している。

セブン-イレブンは、17日の午前6時時点で宮城県、福島県の約80店が休業としていたが、18日午前7時現在までに福島県下の4店を残し、順次営業を再開した。

ファミリーマートは、17日午前8時時点で宮城県、福島県を中心に190店が休業していたが、同日午後6時までには全店が通常営業に戻ったという。

ローソンでも、17日午前9時時点では宮城県、福島県の約40店が休業。その後、同日夕方までには8店を除いて営業を再開。18日午前9時までには、全店が営業を再開している。

ハム・ソーセージ業界は、日本ハム、伊藤ハム米久ホールディングス、丸大食品の3社は、各グループ全体で東北地区に営業拠点と工場があり、フードリエは営業拠点があるが、各社とも人的被害はなく設備的にも甚大な損害はない。一部で商品の落下による廃棄の懸念はあるものの、「事業継続に問題はない」としている。

冷食業界では、東北に生産拠点を構えるヤヨイサンフーズ、日東ベストともに人的被害はなく、工場も通常稼働している。乳業関係では、「現在(17日11時時点)で、大手については生産設備を含め、被害があったという報告は受けていない」(日本乳業協会)。製糖関連では、三井製糖千葉工場は「一部軽微な破損はあったものの、問題なく稼働中」。

漬物関係は、全漬連によると「被害情報は入っていない」という。みそ漬、三五八漬で有名な会津のメーカーも通常操業中。

みそは、全味工連によれば福島県で21社の被害報告があり、うち17件は軽微、4件は設備被害あり。1件は作り替えが必要なほどの被害あり。けが人はなし。

豆腐は、大手メーカーの子会社工場(宮城県白石市)でライン設備が動くなどのトラブルがあったが大きな被害は発生していない。

納豆は、トップメーカーのタカノフーズは納豆工場(東日本エリア)が茨城3か所、宮城にも1か所あるが、特に設備の破損、人的被害など今のところ確認されていない。物流関係も大きなトラブルはなく通常運用できている。

そのほか、広範囲なエリアで倉庫の荷崩れ、商品落下による被害があったほか、道路事情により一部で配送の遅れも生じた。

福島、宮城沖地震の翌日、首都圏のディスカウンターやホームセンターでは急遽、防災食を含めた防災グッズの露出を延長し備蓄を訴えた。停電が発生したため懐中電灯や携帯ラジオ、電池がよく売れた。

防災食や防災グッズの需要は1年のうち、春と秋に需要の山が二つあり、それは東日本大震災が発生した3月11日前後と、9月1日の「防災の日」を含む一週間前後。今回の地震は3月11日から間もなかったため急遽、防災コーナーを延長した店もあった。

このほか、アマゾンや楽天などECの注文も殺到した。