味の素 家庭用マヨ今期売上4~6%増見込む ブランド価値の理解進む

味の素の21年度家庭用マヨネーズ売上は、前年度比4~6%増での着地を予測。市場全体では前年度並みから1%程度の上積みが見込まれているが、これを上回る結果になりそうだ。商品別ではレギュラー領域の「ピュアセレクトマヨネーズ」が2~3%増、「同コクうま65%カロリーカット」や「同サラリア」といった健康訴求型が微増。昨夏から一般流通に投入した「ピュアセレクトマヨネーズ 新鮮キープボトル」も好調な売れ行きだ。

期を通じて同社が注力したのは、ブランドコミュニケーション。昨年4月からはTVCMに女優の石田ゆり子さんを起用し、「ずっとピュアでいよう」という新たなステートメントを掲げた。消費者に対して「ピュアセレクト」のブランド価値を共感してもらうために「とれて3日以内の国産新鮮卵だけを使用する」というストーリーや「新鮮なおいしさを生活者に届ける」という訴求活動を推進した。YouTubeに公開したステートメント動画は商品の生産段階から消費者の手元に届くまでの数々のこだわりにフォーカスした内容で、再生回数400万回超えを記録。ブランドストーリーに対する消費者の関心の高さが浮き彫りになった。

同社では商品の価値を認めてもらうことで、値引きをしない商品でも購買につなげるというフローの確立に努めてきた。3月から再値上げが実施されたが、担当者は「流通との取り組みをさらに強めながらNB商品としての価値をお客様に届け、売上を拡大することがミッション」と話す。「ピュアセレクト新鮮キープボトル」もマヨネーズ初となる新鮮なおいしさを維持できる唯一の容器と銘打っており、ほかにはない価値を提供している。22年度もTVCMやWEBを使い新鮮キープボトルの価値をアピールする考えだ。

コロナ禍では、野菜を積極的に喫食することが一大トレンドに。それにともないマヨネーズ市場も堅調に推移している。健康や食に対する価値が見直され、他の調味料と比較した際のマヨネーズの糖質の少なさについてもさらなる理解が進んだ。同社では「ここ数年、生活者が持つ糖質に対するネガティブな印象がマヨネーズに関しては良い形で影響している」と分析。人々の健康意識が高まるにつれ、ローカロリーの「コクうま」やトクホの「サラリア」といった付加価値提案型の商品にも注目が集まっている。

コロナ禍でセールスプロモーションの形も大きく変わった。同社では、以前のような店頭販促一辺倒でなく、特定のターゲットのニーズに合わせたデジタル広告などにも力を入れている。

例えば、食生活を見直すタイミングでもある健康診断の時期に合わせ「コクうま」を提案するなどの施策も効果的だという。

マヨネーズ単体ではなく生鮮品とのコラボなど新たな店頭活動も成功を収めている。今後は引き続き、「勝ち飯」や「ラブベジ」といったプロジェクトやオウンドメディアの「AJINOMOTO PARK」を活用した総合的な取り組みも行う考えだ。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)