西友と楽天(楽天グループ、楽天ペイメント、楽天Edy、楽天カード)は4月から、「西友」「リヴィン」「サニー」全店で、「楽天ポイント」を軸とするOMO(Online Merges with Offline)戦略の新たな協業体制を本格展開する。新戦略に基づいたデジタルマーケティングの強化を推進し、オンライン(ネットスーパー)とオフライン(実店舗)の垣根なく、利用者がいつでも買い物ができる環境を整え、新規顧客層の獲得、既存顧客の活性化を図ることで、日本を代表するOMOリテーラーを目指す狙い。西友の大久保恒夫社長と楽天の三木谷浩史会長兼社長CEOが10日、都内で会見し、発表した。
4月1日から「楽天カード」としてはスーパー業界との初の取り組みとなる「楽天カード 西友デザイン」を発行。同カードに付帯する電子マネー「楽天Edy」が西友など全店で利用可能となる。同26日には、現在の「楽天西友ネットスーパー」アプリに店舗でも使える機能を追加し「楽天西友アプリ」としてリリース。「楽天西友ネットスーパー」と共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」、スマホ決済サービス「楽天ペイ(アプリ決済)」の各機能を統合的に提供し、ネットスーパーでも店舗でも使えるアプリに進化させる。26日からは「楽天ポイントカード」も西友グループの全店で利用可能となる。
こうした一連の取り組みにより、西友は導入済みの「楽天ペイ」に加え、「楽天Edy」「楽天ポイントカード」の活用も加えたデータ収集・分析の基盤を整え、オンラインとオフラインのデータを統合した一貫性のあるパーソナライズされたコミュニケーション、プロモーションを利用者に提供できるようになる。
両社グループは今後、協業体制をさらに強化し、ネットスーパー事業、オンラインとオフラインの融合を通じたデジタルマーケティングの強化、楽天エコシステムを活用した新規顧客層の獲得と既存顧客のさらなる活性化により、日本を代表するOMOリテーラーを目指す考え。
楽天は、今回の西友との取り組みを通し、OMOプラットフォームを作り、全国の中小スーパーマーケットに提供できるようにすることで、楽天経済圏の拡大を狙う。
今回の協業について楽天の三木谷会長兼社長CEOは「コロナ禍が始まって以来、日本も急速にデジタル化が進んできたが、人口減という非常に厳しい環境の中、スーパーマーケットは大きな転換期を迎えている。この転換期をより大きなビジネスチャンスとして、西友とともに世界に冠たるOMOプラットフォームを作る。このプラットフォームは西友から始め、全国の中小スーパーマーケットでも使えるようにしていきたい」と狙いを語った。
一方、西友の大久保社長は「西友の実店舗では(来店客の)高齢化が進んでおり、50~70代がメーンの顧客だ。ネットスーパーは客層が異なり30~40代(が中心)。実店舗は人口減や高齢化、競争激化により売上を伸ばすのは厳しい。デジタルマーケティングで売上を伸ばしていく。店舗出荷型のネットスーパーは、実店舗の品質とか、ロイヤルティを持たれていることが重要だと考えている。それを基に今後、ネットスーパー(店舗出荷型、倉庫出荷型)を拡大していく。西友はEDLPが強みだが、それをさらに強化しつつ「品質」「健康」といったニーズにも対応していく。小売業の二本柱である商品開発力と販売力の強化、製造小売業化も進める。OMOリテーラー、ネットスーパー、デジタルマーケティングを強化し、ネットスーパーで№1、デジタルマーケティングで№1を目指す」と意気込みを語った。