国産小豆 製パン需要拡大と安定調達へ議論 パン食普及協

パン食普及協議会は4日、パンに使用する国産小豆の需要創造や安定調達に向けた懇談会を都内で開催した。会合には生産者、流通、製餡、製パン、消費者、関係省庁、関係団体から22人が出席し、意見交換が行われた。

冒頭、農林水産省穀物課の東野昭浩課長は「国産小豆は新型コロナウイルス感染症の影響で土産物を中心に需要が減少している。本省も昨年1月にパン業界の皆さんに国産小豆の需要拡大に向けた取り組みのお願いをし、業界でも商品展開や消費者PRなど、さまざまな取り組みを展開していただいた」と感謝の言葉を述べた。

さらに「1年が経ち小豆をめぐる需給環境が変わった。海外産小豆の輸入遅延、調達価格の上昇を背景に、国産への切り替えが進んでいる。本省でも産地での作付けの維持・拡大や複数年契約による取引を推進しているところ。安定供給に向けた取り組みを進めるには流通、実需者の理解が必要だ」と関係者に協力を仰いだ。

農水省の報告によると、小豆の国内需要は長期的に減少傾向にあり、「供給量、取引価格ともに不安定な面が食品メーカーから原料として敬遠されてきた」と指摘。一方、需要減の傾向にあるものの、供給量を超える国内需要が存在するとした上で、国産回帰の動きを踏まえ、さらなる安定供給の取り組みが不可欠と重要性を述べた。

製パン業界では、各社の国産小豆を使用した商品展開の事例や販売状況などの事例を報告。メーカーの担当者からは「国産小豆に関しては量、質、価格の安定をどのように達成すべきかが課題。値上げの際は新商品にも使いづらい」といった意見も挙がった。消費者側からは「PRやSNSを使い、餡の食経験が少ない若年層に訴えかけるのも効果的では」や「餡だけではない用途開発も検討すべきでは。最近の風潮では餡の甘さが健康に悪いことをイメージさせる。これを払拭する必要があるのでは」といったコメントが寄せられた。

関係団体からは、製粉協会の佐々木康雄専務理事が国内麦の制度を説明するとともに、「国産小豆の需要拡大については、国産ならではの良さをより強く訴求することが重要だと思う」と私見を述べた。

安定調達に向けた課題解決については、生産者との複数年契約についての議論も。流通側からは小豆の国家備蓄について農水省に質問する場面もあった。