「ヱビス」で彩るビール時間 新戦略手ごたえ 若者つかむ WEB空間に“仮想の街” 相互交流も

昨年から新ブランドコンセプト「ColorYour Time!」を掲げるサッポロビール「ヱビス」。21年の出荷実績は前年比102%と狙い通りの成長を実現し、着実な一歩を踏み出した。

目立った伸びをみせるのが若年層の購入率だ。昨年9月までの1年間で、20代では男性が153%、女性も141%と大きく伸長。中期マーケティング戦略の初年度として確かな手応えをつかんだ。

「(コロナ禍を背景に)単にお酒時間を楽しみたいという意識から、質にこだわり、ゆっくり味わう傾向が高まっている。ビールへの関心が高いお客様を中心に、さまざまな興味関心が高まっている」(ビール&RTD事業部・武内亮人部長)とみて、今年は「ヱビス」らしさを際立たせる新コミュニケーションに着手。ビールの魅力をさらに高める。

熱狂的ファンを生み出す新たな試みも始動。2月25日にプレオープンしたコミュニティサイト「ヱビスビアタウン」では、会員限定コンテンツやキャンペーン応募など多彩な企画を展開する。10月の本格始動後はコミュニティ機能を実装。会員同士の交流や、会員とブランドとの相互コミュニケーションが図れる場となる。仮想の“ヱビスの街”で生活しているかのように楽しめるオンライン空間とする計画。

また月刊誌「Pen」との協業による年2回刊のライススタイル誌も2月創刊。「ヱビス」の歴史や暮らしの中での楽しみ方を訴求する誌面で、書店をブランドとの新たな出会いの場とする狙い。

さらにブランド名が地名の由来ともなった発祥の地・恵比寿でさまざまなイベントを展開するほか、同地に来年開業を目指すブリュワリーも通して街をまるごとブランド体験の場とする構想だ。

「26年にかけて段階的な酒税改定が予定されている。20年の改定で起こった変化からも、23年の改定はさらなるビール活性化のきっかけになると想定。残念ながら総需要は減っていく見通しだが、家庭用の缶は増えるだろう。日本のビール魅力化をけん引したい」(武内氏)として、デジタルとリアルの両面から顧客接点を強化する考えを示した。

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