キーコーヒーは、有名カフェチェーンや老舗喫茶店の名前をブランド名にした家庭用レギュラーコーヒーの人気を受け、家庭用商品で喫茶店ブランドのコーヒーに商機を見出す。
昨年、京都市内を中心に喫茶店「イノダコーヒ」を運営するイノダコーヒ(本社・京都市)と業務提携契約に向けた基本合意書を締結して9月に新発売した「京都イノダコーヒ」ブランドの販売好調を受け、今年、そのラインアップを拡充する。
2月4日発表したキーコーヒーの田中正登志R&Dグループグループリーダーは「コロナ禍になって、コーヒーショップや喫茶店のコーヒーの味わいを家庭でも楽しみたいニーズが高まってきている。この流れと高級感のあるイノダコーヒブランドの強さが掛け合わさり店頭で非常によい効果を生み出している」と期待感をにじませる。
イノダコーヒとはこのほど正式に業務提携契約を締結し、喫茶文化の継承・魅力発信の取り組みも加速していくとみられる。
キーコーヒーは今年、2030年までに目指す姿として新メッセージ「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を制定し、喫茶文化と喫茶店の応援、サステナブル活動に注力していく方針を固めている。
これについては「若年層を中心に、イノダコーヒ様とともに純喫茶文化を強く発信していきたい。巣ごもり需要を追い風に、ご家庭で喫茶店のようなコーヒーの味わいを楽しんでいただくことで純喫茶そのものの魅力を想起してもらえるように店頭活動を強化していく」と意欲をのぞかせる。
店頭では、ラインアップを拡充してブランドの露出を強めていくことに加えて、引き続き純喫茶の世界観を伝えるオリジナルムービーの放映や専用什器を使った販促強化などに取り組む。
イノダコーヒは、京都の観光スポットとして観光サイトやガイドブックなどに紹介され、直近ではGoogle検索数とインスタグラムのハッシュタグ数は同地区の同業でトップクラスとなっている。
これには、昨年9月に新発売した「京都イノダコーヒ オリジナルブレンド」(180g粉)と「同モカブレンド」(同)が一定の効果をもたらした模様。
「店頭での採用率が上がったことも1つの要因とは考えているが、ともかくイノダコーヒ様の認知度がアップしているのは非常に喜ばしいこと」と述べる。
3月1日に新発売したのは計6品。
前述した「オリジナルブレンド」と「モカブレンド」で簡易抽出型コーヒー「ドリップ オン」シリーズ2品を追加し、リキッドコーヒーと有機コーヒーのカテゴリーで2品ずつ新商品を投入した。
このうち「ドリップ オン」は、個包装に箱と連動したデザインを施し1袋からの販売も可能にしている。
またカップに装着する専用台紙には「京都の朝はイノダコーヒの香りから」などの文言をあしらいイノダコーヒの世界観を表現している。