「人道に対する罪」再び

南アフリカ共和国と言えば世界有数のダイヤモンド産出国というイメージを持っていたが、生産量は世界8位(18年)と意外に低い。圧倒的な生産量を誇るのがプラチナを含む白金族。自動車や電気工業、宝飾品に利用されるレアメタルである。

▼以前は西側の多くの国がその供給を南アフリカに頼っていた。それゆえ、国連総会で「人道に対する罪」と糾弾されたアパルトヘイトを各国は強く非難することができなかった。

▼状況が変わったのは冷戦終結後。ロシアなどからレアメタルを輸入できるようになり、欧米諸国は南アフリカに対する制裁を強める。94年、マンデラ大統領が就任し、アパルトヘイトは消滅した。

▼ロシアに対する各国の経済制裁が強まっている。金融制裁を受けた銀行には多くの市民が詰めかけた。世界市場にも混乱が広がる。実際にロシアを市場から排除することで、小麦やアルミニウムなど多くの原料相場が上昇に向かっている。かつて「人道に対する罪」の消滅に間接的ながら寄与した大国は今、人道を無視した暴挙で世界に悲嘆と混乱を招いている。

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