冷凍食品 業務用ノウハウ生かし家庭用市場にチャレンジ活発

市場拡大が続く家庭用冷食。内食需要を追い風に小売店では冷食売場を拡大する動きもあり、餃子や焼売、ハンバーグなど食卓惣菜、冷凍フルーツやスイーツなど取り扱いカテゴリーも広がっている。業務用市場の逆風が続く一方、その技術を生かし家庭用に挑戦するメーカーも増えている。

「米久らしさ」発揮へ 電子レンジで高級中華の味

「米久らしさの発揮」をテーマに掲げる同社の春の新商品は「独自性・新提案」「既存ブランド強化」「SDGsへの取り組み」がキーワード。なかでも目立つのが冷凍食品のラインアップ強化だ。巣ごもり需要もとらえ、今期の冷食カテゴリーは二ケタ増と好調だ。

本格中華を冷食で再現する「大龍シリーズ」から3年ぶりの新商品は、電子レンジで簡単調理の「牛肉のオイスターソース」「海老ニラ饅頭」の2品。既存2品もレンジ対応に刷新し、3月1日から発売した。

「大龍」は12年に伊藤ハムから営業権を取得したブランド。中華に特化した米久デリカフーズの工場(静岡県)で製造する。飲茶チェーン「点心之家」向けの製品や他社OEM製造による点心のノウハウを持つ。他社では蒸気釜が主流だが、直火釜による180℃以上の高温調理で専門店の味を再現する。

大龍シリーズから「牛肉のオイスターソース」(米久)
大龍シリーズから「牛肉のオイスターソース」(米久)

「コロナ下で高級中華への支持が高まるなか、電子レンジ調理の商品がほしいという声が増えている。おいしい中華を冷凍で届けるコンセプトの『大龍』は電子レンジ調理できるスペックではないのが悩みだったが、レンジでもバックヤードで作ったのとそん色ない味が作れた」(加工品事業部・玉井広之氏)。

さらに、大豆たん白をベースに畜種ごとに味や食感を再現した冷食「AIRMEAT(エアミート)シリーズ」から「大豆のお肉で作ったガパオライスの素」を発売。鶏ひき肉をイメージした大豆ミートで、オイスターソースと魚醤を使わずにガパオを再現した。

伊藤ハム米久グループ全体で代替肉事業を推進するなか、同社は市販冷食分野を担う。「(代替肉市場は)メーカー数は増えても購入頻度はあまり増えない。回転数はほかの冷食に比べて低く売上の数字はまだまだ厳しいが、普及を続けることが大事ととらえている」(玉井氏)。

エム・シーシー食品、家庭用に参入 市場拡大するエスニック系で2品

エム・シーシー食品は3月1日、冷食の新シリーズ「WORLD DELI」として、まずは市場が伸長しているエスニック系の「香り立つアジア」2品を発売し、一般小売流通の家庭用冷凍食品市場に参入した。同社のロゴには「世界の味」と記載があり、既存品の業務用冷食やレトルト品ではすでに世界各国の料理(スープ含む)を商品化し好評を得ている。今後は家庭用冷食でも同2品を皮切りに、同シリーズで世界各国の料理を拡充させる。

「WORLD DELI 香り立つアジア スパイシーガパオ」(エム・シーシー食品)
「WORLD DELI 香り立つアジア スパイシーガパオ」(エム・シーシー食品)

同社の冷凍食品事業は売上の5割を占める基幹事業だが、業務用と一部の生協向けに限られており、過去にはハンバーグで家庭用冷食を発売したことはあるが、現在は終売している。

参入理由について水垣佳彦常務は「われわれができるのにやっていないのが家庭用冷食」とし、将来的な安定経営に向けてバランスを重視した事業ポートフォリオを再構築していく。特にコロナ禍では業務用は厳しかったが、レトルトなどの家庭用は伸長し、同社全体の家庭用と業務用の売上比率はほぼ5対5となっている。水垣常務は「事業バランスは何事も半々が理想」と話した。

新シリーズ2品は「スパイシーガパオ」と「ルーロー飯」。「タイ現地の屋台再現にこだわった」商品で、ガパオはシーユーダムと呼ばれる本場タイの糖蜜ソースを使用するなど原料にもこだわった。容量はお茶碗サイズの70g2食入り。レンジアップし温かいご飯を用意すれば、簡単に本格的なタイの屋台料理が味わえる。

コロナ禍で外食や旅行を控えるなか、家庭で食べられるエスニック料理への注目は高まっている。同社既存のエスニック関連商品は売上が約4倍と伸長している背景もあり、今回の新商品についてもまずは都市部中心に採用は進んでいるという。