レギュラーコーヒー「煎」がECで生まれ変わった! AGFの科学的手法に基づく風味設計が好評「プレミアム市場を開拓」

 レギュラーコーヒーで“日本の味覚に寄り添う味わい”を追求し科学的手法に基づいて風味設計された味の素AGFの「煎」ブランドが活躍の場を店頭からECに移して大化けしている。

 直近では昨年9月に「煎」ブランドから新発売したレギュラーコーヒーの豆商品と粉商品が好スタートを切った。

 特に豆商品の引き合いが強く、この要因について布田明日和ECビジネス部商品開発グループ主任は「そもそもEC市場は店頭と比べてレギュラーコーヒー、特に豆の比率が高い。豆ユーザーは豆を買い回る傾向にあるが、店頭では豆の商品数が限られているためECに流れており、その潮流に乗ることができた」と説明する。

 コロナ禍の外出自粛による家庭内需要の高まりも追い風になっている。

 「お家の中で豆から挽いて楽しみたいニーズが高まっている。ユーザーは若い人も入ってきていると思うが、ベースとなるのは年代の高い方」とみている。

レギュラーコーヒー淹れ方のコツを伝える「煎」専用のアプリ - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
レギュラーコーヒー淹れ方のコツを伝える「煎」専用のアプリ

 「煎」は、昨年9月まで水出しを含む簡易抽出型のドリップコーヒーのみで展開していたことから、レギュラーコーヒーの豆ユーザー、粉ユーザーにも楽しんで頂くために、9月の豆・粉商品発売に伴い淹れ方のコツを伝える「煎」専用のアプリを公開した。

 これについてECビジネス部商品開発グループの寺村珠里氏は「『煎』ならではの繊細な味わいを安定的に楽しんでいただくために考案した。お客様の手順が増えるほどお届けしたい味が提供しにくいと考えている。繊細な味わいのためドリッパーの種類によっても味が変わってしまう。また、珈琲を淹れる時間も含めて、丁寧に愉しんで頂きたいと考えている」と説明する。

 アプリでは淹れたいコーヒーの情報を入力すると最適な抽出方法が動画付きで推奨されるようになっている。ドリッパーも台形1つ穴・台形3つ穴・円錐1つ穴の選択肢を用意している。

「煎」ドリップコーヒー「香醇 澄んだコク」20袋 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「煎」ドリップコーヒー「香醇 澄んだコク」20袋

 ドリップコーヒーは19年8月にデザインを刷新してから勢いを加速させている。
「リニューアル以降、トライアル・リピートともに好調で定期購入者も増加傾向にある。1杯70、80円の高単価商品にも関わらず大手ECサイトのドリップコーヒーランキングで上位に入っている」(布田氏)と述べる。

 好調要因は、デザイン刷新や味わいを丁寧に伝えることで、上質なコーヒーを愉しみたい人に支持されはじめたことにあるという。

 「煎」は、ユーザーを対象とした嗜好テストや専門の評価員による官能評価・機器を用いた成分分析を行い、コーヒーが持つ1000種類以上の香り成分と100種類以上の味成分の中から目指すおいしさと関わる成分を特定して風味設計されている。

 焙煎にもこだわり、時間帯によって焙煎温度を変えるなどターゲットテイストに合わせた火加減で焙煎する「T2ACMI(たくみ)焙煎」を採用している。

 このこだわりが高単価でも売れる理由で「スッキリとして雑味がなく、それでいてコクや香りもしっかり感じられる味わいが好評を博している。ブラックが苦手な方でも『煎』だと飲めるというお声をいただいている」という。

「煎」ドリップコーヒー「濃厚 深いコク」の個包装 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「煎」ドリップコーヒー「濃厚 深いコク」の個包装

 「煎」のラインアップは「香醇 澄んだコク」と「濃厚 深いコク」に大別され「香りが立ち少し酸味のあるよう爽やかな味わいが『香醇』。深くて、香りが重厚な感じがするのが『濃厚』で、飲み比べる方もいるが、『濃厚』が売れ筋となっている」。

 刷新されたパッケージについては「プレミアム感を高めて自分の時間を充実させたいニーズを捉えることができ、プチギフト需要の獲得にもつながっている」との見方を示す。

 容量では20袋・5袋・アソート12袋のうち、20袋に人気が集まっている。
 プロモーションは“清らかな水”にフォーカスして展開している。

左から布田明日和ECビジネス部商品開発グループ主任、ECビジネス部商品開発グループの寺村珠里氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左から布田明日和ECビジネス部商品開発グループ主任、ECビジネス部商品開発グループの寺村珠里氏

 「煎」は、京都最古の神社とされ世界文化遺産にも登録されている上賀茂神社が神代の昔から守ってきた“神山湧水”にあわせて開発された「神山湧水珈琲|煎」が発祥で、これを受けた動きとなる。

 昨年9月には特設サイト「水の国から」を開設し、全国の名水の自然風景・文化などのストーリーとともに「煎」に通じる繊細な感性を発信している。

 今後は「煎」の認知度アップに注力していく。
「知っていただき手に取っていただく活動を中心に実施してユーザーをもっと広げていきたい」と意気込みを語る。