ロングセラーの「ポッカレモン」がここ5年間で大幅に拡大した理由 成長を支える3つのこだわりとは?

 今年発売65周年を迎えた「ポッカレモン」は1957年の発売開始以外、年によっては若干の凸凹をみせつつも右肩上がりに成長。特に昨年は過去最高の出荷を記録するなど直近5年間で大きく伸長し、これはロングセラーブランドとしては異例の動きだという。

 年次成長率は17年105%、18年110%、19年107%、20年123%、21年108%となった。

 この動きについて、16日発表した大槻洋揮取締役執行役員レモン・プランツミルク事業本部長は「ロングセラーブランドで直近が一番成長しているというのは稀有。その理由はコロナ禍や健康意識の高まりもあるが、巣ごもりで料理やデザートなど召し上がっているものの味をアレンジしてバリエーションを楽しもうという家庭内需要が非常に増えたことがこの直近5年間の成長要因だと考えている」と述べる。

レモン・プランツミルク事業本部レモン・プランツミルク研究所オールレモン開発グループリーダーの山口研志氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
レモン・プランツミルク事業本部レモン・プランツミルク研究所オールレモン開発グループリーダーの山口研志氏

 その成長を底支えしている「ポッカレモン100」のこだわりについて、レモン・プランツミルク事業本部レモン・プランツミルク研究所オールレモン開発グループリーダーの山口研志氏は、濃縮還元レモン果汁100%(原料)・保存料無添加(製法方法)・常温保存可能(容器)の3つを挙げる。

 果汁は濃縮果汁とストレート果汁に大別され、濃縮果汁はさらに混濁果汁とクリア果汁の2つに分類される。

 この中で「ポッカレモン100」は混濁果汁とクリア果汁の中間に位置しそれぞれのよさをあわせ持つセミクリア果汁となる。

 

左からクリア果汁とセミクリア果汁 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
左からクリア果汁とセミクリア果汁

 「レモン果肉の小さな粒の皮をパルプと呼び、これが濁りの正体となる。パルプの多い混濁果汁は味に厚みがあり少量でレモンらしさが出る。一方、クリア果汁はパルプを完全除去したもので混濁と比べ非常に味がスッキリしていて雑味がない。セミクリア果汁は混濁果汁が持つコクや味の厚みとクリア果汁が持つスッキリ感をあわせ持ち料理から飲み物まで幅広い用途に使うことができる」と説明する。

 製法にもこだわり、14年にはナチュラルレモンテイスト製法を導入して保存料無添加を実現した。

 「近年、耐熱性の高い微生物がいることが判明し、以前よりも強い殺菌を行う必要が出てきている。そこでナチュラルレモンテイスト製法を導入し、加熱のダメージを最小限にしてよりおいしい品質のものがお届けできるようになっている」と胸を張る。

 レモン果汁品質で大敵とされるのが温度(加熱)・酸素・光の3つで、同製法では脱酸素調合で酸化劣化の原因である酸素を液中から極力除去。

 加えて、業界初の技術とされる交流高電界殺菌で「熱と電気の相乗効果によって、非常に効率的に微生物を殺菌し、レモン果汁が熱にさらされる時間を短くしている」。

 光に対しては、グリーンの瓶を採用して紫外線を90%以上カット。中栓は酸素を通さないアルミシールを採用している。

 容器は使いやすさや環境にも配慮し大きな出っ張りを設けて開けやすいキャップやエコロジーボトルを採用している。

 エコロジーボトルは、市町村などで回収されたガラス瓶を再生カレットにし、それを90%以上使用した再生ガラス瓶となる。

 今後もこれらの特徴に磨きをかけていく。
 「『ポッカレモン』は65年間で進化を遂げ、これからもお客様に寄り添いよりよいものをつくっていく」と意欲をのぞかせる。