中華合わせ調味料“家事疲労”で失速 再チャレンジへ調理負担・マンネリ化・在庫など家庭内の課題解消がカギ

 2021年の中華合わせ調味料は、総じて厳しい年となった。2020年の特需の反動は当初から予想され、各社とも「まずは実績維持」が合言葉だったが、結果的には想定以上の反動だった。2020年には市場規模が598億円(インテージ調べ)と、600億円の大台を目前にして失速、今年は再チャレンジの年となる。

 永谷園は昨年実施した子育て世帯をターゲットにした「麻婆春雨」「ビーフン」での野菜摂取の訴求を継続するほか、丸美屋食品は「棒々鶏の素」が発売35周年を迎える。 
 味の素は「CooK Do」のコミュニケーションを4年ぶりに刷新し阿部寛さんを起用するなど話題も多く、活発な商戦でさらなる需要喚起を期待したい。

 調査会社のインテージはこのカテゴリーについて「2020年に前年比105・1%と伸長し市場規模598億円としたが2021年は、前年比95・1%と減少し、2019年との比較でもほぼ横ばいにまで落ち込んだとしている。前年に伸長した反動のほか、自粛生活が長期化する中で家事疲れも出てきており、調理にひと手間かかることから伸び悩んだ」(同社市場アナリストの木地利光氏)と推察している。

中華合わせ調味料市場の推移 出典:インテージSRI+データ
中華合わせ調味料市場の推移 出典:インテージSRI+データ

 コロナ禍では、家庭での調理機会が増えるだけでなく3食摂取する場合は調理時間も大幅に増加した。

 新しい生活様式とされるこのトレンドは大筋で変化していないが、それでも苦戦したのは2020年の特需の山が高かったことや、「専用メニューの中華調味料よりも、汎用性の広い調味料へシフトした可能性がある」(味の素)、「マンネリ感や家事疲労」(永谷園)、「食の嗜好が多様化し、これまでに食べなかったメニューを試す機会が増えてきた」(丸美屋食品)などが指摘されている。コロナ環境下では冷凍食品の市場規模が拡大したほか、スパイスメーカーの販売するシーズニングも人気だ。

 主要各社の2021年の動向は、味の素の「Cook Do」は2021年4~12月期で市場とほぼ同様の傾向。主菜用の「回鍋肉用」「青椒肉絲用」「麻婆茄子用」が低迷したが、その一方で、安価な豆腐で作れる「広東式麻婆豆腐用」「四川式麻婆豆腐用」は前年を上回った。

 永谷園は「チャーハンの素」「麻婆春雨」「チャプチェ」「広東風かに玉」「広東風ニラ玉」の5つがメーン。 
 反動減の中で健闘したのは「チャプチェ」「麻婆春雨」「広東風ニラ玉」で、一方「広東風かに玉」「チャーハンの素」は苦戦した。
 しかし、レンジ商品の「レンジのススメ」シリーズで2アイテム「四川風麻婆豆腐(辛口)」「広東風麻婆豆腐(中辛)」を昨年8月に投入。豆腐との連動販売で成功事例を出し、発売以降好調を持続している。

 丸美屋食品の中華惣菜群は、前年比並みで着地した。
 需要が急増した2020年の反動が危惧されたが、主力の「麻婆豆腐の素」は50周年で期間限定発売した「黄金の麻婆豆腐の素」と、メモリアルイヤーを冠したパッケージによって売場での存在感を高め、反動を最小限に留めた。
「麻婆茄子の素」「春雨」「贅を味わう」シリーズはいずれも実績を上回った。

 各社の春季新商品、リニューアル品では、味の素が「CooK Do」シリーズで3~4人前用の「回鍋肉用」「麻婆茄子用」「青椒肉絲用」「酢豚用」、2人前用の「回鍋肉用」「麻婆茄子用」「青椒肉絲用」をリニューアル。
 約4年ぶりにコミュニケーションを刷新し、2月から“うまい中華を食おうじゃないか。”のコピーで、家族そろって食卓を囲んで食事を楽しむシーンを放映。デジタル広告では原料や製法のこだわり、食べる楽しさ、料理を作る楽しさを伝えるなど過去最大規模の広告を投入する模様だ。
広告連動の中華フェアや北京オリンピックのオフィシャルスポンサーとして店頭での「勝ち飯」提案などにより、21年度(昨年4月~今年3月)は前年に近い数字を予想。来年度は今年度を上回る計画を立てている。

 永谷園は、「春雨」でのユーザーの掘り起こしを引き続き強化するほか、「レンジのススメ」シリーズの育成、新商品「黒炒飯の素」を加え“チャーハンの素”の販売回復に取り組む。冷蔵庫内に残った材料を効率よく使いきるメニューとしての特性を改めて訴求する。
 「麻婆春雨」では、野菜提案で子育て世帯への需要喚起に成功した前年に続き、今シーズンも提案を強化する。

 エスビー食品は、4~12月を前年並みで推移。「李錦記」シリーズは前年比二ケタ伸長と好調だった。
「町中華」ブランドでは、おつまみメニューに対応するシーズニングを2月から展開。3~5月には中華調味料でのインストアキャンペーンを計画している。

 丸美屋食品は、「麻婆豆腐の素」「麻婆茄子の素」、中華冷菜では「棒々鶏の素」、「旨い!中華」シリーズ、「贅を味わう」シリーズ、「七味芳香 大人の中華」シリーズと、中華メニューを家庭で楽しみたいユーザーに対し、あらゆる食シーン、世帯家族数に合わせた商品を提案している。
 今期(2022年12月期)売上高は3・3%増を計画しており、中華惣菜でも同等の伸びを目指す。春季新商品は主力の「麻婆豆腐の素」をはじめ各シリーズで新商品、リニューアル品を投入。アッパー商品の「贅を味わう」シリーズや「七味芳香 大人の中華」シリーズなどでもさらなるユーザーの掘り起こしを進めブランド価値の向上を推進する構えだ。

 また、永谷園、味の素が提案強化しているレンジ商品では、丸美屋食品も「チンしてそのまま!CUP NOW!」2品を発売する。
永谷園「レンジのススメ」は、昨年8月に新発売して好調な発進、今春も新商品を投入した。

 味の素は、昨年「スチーミー」を全国発売。11月にTVで紹介されて以降「需要が急拡大し、店頭回転が約10倍に跳ね上がった」としており、新商品はパッケージデザインを変更、精肉売場でも展開する予定だ。

 いずれも簡単・便利に加え、フライパンを汚さない点が家事疲労の解消につながるのかもしれないが、一方で健康志向が進む中で野菜をより摂取したいなど家庭内の食における課題は少なくない。これらの課題に向き合い、より消費者へのコミュニケーションを深めることができれば2022年の中華合わせ調味料は明るさを取り戻すことになるだろう。