近畿キリングループ ビール拡大に力 飲料、主要ブランドを強化

近畿圏のキリングループ3社(キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン)は9日、オンラインで22年の事業方針を発表した。各社が報告した前期の概況と今期の方針は次の通り。

【キリンビール】近畿の21年販売実績はビール類が前年比5.4%減(ビール0.2%減、発泡酒2.1%増、新ジャンル13.8%減)、RTDが5%増、ノンアルコール飲料が13.4%増、洋酒が19.9%減。

全社では6年ぶりにプラスとなったビールが近畿では微減となり、新ジャンルと洋酒の落ち込みも全社より大きかった。一方で発泡酒とRTD、ノンアルコール飲料の伸び率は全社を上回った。

ブランド別では「一番搾り」の缶(6.7%増)と糖質ゼロ(172.6%増)が全国の伸び率を超えた。「本麒麟」は7.7%減だった。

今期はコロナ禍の影響が見通せないため、地域別の目標は開示しない。「主力品の定番化や健康志向にミートした商品提案」(石塚浩樹近畿統括本部長)でビールの拡大を目指すほか、大阪の期間限定店や京都のスプリングバレー・ブリュワリーからのクラフトビールの発信に力を入れる。

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石塚本部長

大都市圏は業務用の構成比が高いためコロナ禍の影響がほかのエリアより大きく、ビールはマイナスとなった。今期は業務用の回復に取り組むことで、減った以上のものを取り戻したい。「ラガー」の強いエリアだが、「一番搾り」の魅力を伝えることで、新しいユーザーを獲得できるチャンスがあると考えている。

【キリンビバレッジ】近畿の21年販売実績は、清涼飲料合計で前年比3%減。主力ブランド別では「午後の紅茶」が1%減、「生茶」が0%、「プラズマ乳酸菌入り飲料」が66%増。全社とほぼ同じだが、全社で減少した「生茶」は前年並みにとどめた。また「午後の紅茶」は地域独自のキャンペーンを展開し「おいしい無糖」が11%増と大きく伸びた。

今期は前年並みを目標とする。ブランド別では「午後の紅茶」9%増、「生茶」7%増、「プラズマ乳酸菌入り飲料」44%増。地元スポーツチームの応援や、昨年約900店で展開した兵庫県との地産地消キャンペーンの拡大などCSV活動を加速させながら、事業基盤の強化を図る。

近畿圏地区本部長 宮代清尚氏

前期は自販機の影響でマイナスになった部分もあったが、地域独自のキャンペーンを通して「午後の紅茶」「生茶」「プラズマ乳酸菌入り飲料」の主要ブランドに注力した結果、これらが全国より良かった。近畿は甘いものが好まれるエリアだが、健康志向から無糖の評価も高まっている。

【メルシャン】近畿圏の21年販売数量はワイン合計で前年比15%減。国内製造が11%減、輸入が21%減でいずれも全社を下回った。今期は新ブランド「Mercian Wines」の展開などにより、全社と同じくワイン全体で3%増(国内製造1%増、輸入4%増)を目指す。

近畿圏支社長 齊藤将氏

近畿はカジュアルワインのウエートが高く、市場では価格競争や同質化が進んでいる。その中で「酸化防止剤無添加ワイン」をリニューアルし、こうした課題解決につなげていきたい。

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