チーズも値上げ 輸入原料の高騰影響 嗜好品から必需品へ地位向上が課題に

雪印メグミルクは9日、家庭用チーズ35品を4月1日出荷分から値上げすると発表した。中国の旺盛な需要などを背景とする輸入原料価格の急騰に加え、原材料や包装・資材、エネルギー、物流などのコストアップ、原油価格やコンテナ不足などによる輸送運賃の上昇、さらには為替(円安)も追い打ちを掛けた。

雪印メグミルクが発表したチーズの価格改定率は、プロセスチーズ(31品)4.5~10%、ナチュラルチーズ(4品)4.3~5.7%。主要商品の新価格はスライスチーズ(85g、5枚入り)が税別230円(現行価格220円)、同(126g、7枚入り)税別380円(同360円)、6Pチーズ(108g)が385円(同365円)、ベビーチーズ(48g)168円(同160円)、ナチュラルチーズのクリームチーズ(200g)455円(同435円)など。

チーズの価格改定については「(チーズは)嗜好品なので、(値上げで)値ごろを外すと(消費者の)選択から外れる。まずはコストダウンを検討する」(同)というように、メーカー各社では堅調に推移する需要への影響を懸念。価格改定に慎重な考えを示していたが、「短期的にコストが下がるシナリオは考えにくい」(同)というコストの急騰を受け、価格改定に踏み切らざるを得なくなった形だ。

2021年上期の国内家庭用チーズ市場は、2020年の特需の反動もあり「想定通り」(メーカー)という前年割れでの折り返しとなったが、「20年に広がった間口は、21年も一定程度定着した。チーズの食卓登場頻度が上がった影響」「20年度に続き外出自粛などで内食需要が継続したことで、調理系タイプを中心に間口・奥行ともに歩留りが高かったと推察している」(同)というように、家飲みや巣ごもりの継続によりチーズが食卓に登場する機会が高止まりしたことで、大幅な反動減という事態にはならなかった。

今回の値上げがチーズ消費に与える影響は未知数だが、加工食品業界で価格改定が相次ぎ、消費者の生活防衛意識が高まる見通し。逆風の中、いかにして需要を維持・拡大していくか。嗜好品から脱却し、生活必需品というポジションの確立に向けた取り組みが、これまで以上に求められる。